ジムのケース
20代後半のアメリカ人・ジムは、以前はとても情熱的な若者だった。共産党主義者であり、スターリニストであったという。お酒を飲み、煙草を吸いながら、結論の出ない政治のディベートをするのが好きだった。大学を卒業し、アカデミックなキャリアを築いて、いつか暴動を起こすことを夢見ていが、その代わりに、彼は日本人女性と結婚した。彼が大学を卒業するまでに、二人の子どもができた。
日本人の奥さんは日本を離れたくないと言う。彼女はジムに安定した職について収入を得ることを懇願した。彼は現在、大きな大学からはほど遠い田舎町で英語を教えている。「これは今だけだから」と自分に言い聞かせてきたが、彼が以前に夢見ていたことを実現させるための資金やモビリティをこの先どうやって手に入れられるのか、見通しはたたない。
日本は、ある者にとっては”最適な場所”になりえるが、ある者にとっては”落とし穴”でしかない。そして、この落とし穴にはまってしまうのは、外国人女性よりも外国人男性に多い。
日本の企業社会は、現在でも圧倒的な男社会だ。女性はほとんどの人が結婚や出産を機に、現役をドロップアウトする。結婚という話になると、日本人は”経済面”を重要視するのだ。
日本女性の情報サイトozmallによる調査にると、「お金が無くても結婚できると思う?」という質問では、72パーセントが『お金がないと結婚できない』と思っていることが明らかになった。
これは欧米的な恋愛観や結婚観とは大きくずれている。
例えば、ピュー研究所が既婚&未婚のアメリカ人女性にアンケート調査したものによると、「一生を共に過ごすために必要な要素は何?」という質問に、“愛”と答えた人が93%であった。 次に、「一生の誓いをたてること」、「交わり」であり、日本で重要にされがちな「経済的安定を得ること」は、アメリカ人にとってはあまり重要ではないことが分かった。
セバスチャンのケース
アルバイトをいくつも掛け持ちしながら大学に通うセバスチャン(32歳)は、12年のドイツの軍隊経験がある男性だ。彼は日本で1年間交際した日本人女性にプロポーズをしたが、フラれてしまった。理由は、「彼には将来がない」からだそうだ。日本語を専攻したところで成功できるキャリアが得られるわけでもなく、英語のネイティブスピーカーでもない彼には安定した英語講師の仕事にも就けない。「なぜいつもお金が問題になるの?」と、セバスチャンは疑問に思う。
日本では、「結婚とロマンチックな愛は別物」なのである。
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