大阪府寝屋川市の中学1年の男女生徒2人を2015年8月に殺害したとして、殺人罪に問われた山田浩二被告(48)に対し、大阪地裁は死刑の判決を言い渡した。
殺害されたのは、平田奈津美さん(当時13)と星野凌斗さん(当時12)。その遺族らも出席した法廷で山田被告は土下座して号泣したと思いきや、警察や検察への「悪態」をつくなどドラマのような劇場型裁判だった。 筆者は山田被告が収容されている大阪拘置所で複数回、面会。その真意を尋ねてみた。
マスコミの悪口をまくしたてる山田被告。
「検察の取調べはひどい。どうせ死刑だとか平気でいう。取調べは録音録画されており、それ見てくれたら、違法な調べがわかる。この本のとおり、検察はひどいので、それを書いてくれ」
山田被告の場合、弁護士も平田さん殺害については傷害致死で懲役12年が相当と「有罪」を主張している。村木さんの無罪と同列に論じるのは、「到底、無理だ」と説明すると「結局は検察や警察の言いなりか」と怒りを露わにした。
山田被告が落ち着いたところで、初公判で土下座したことを尋ねてみた。
「テレビのバラエティー番組とかでは、土下座の絵まで描いて放送しているそうだ。それがパフォーマンスやっていうんや」
メディア批評をした後、山田被告はようやく土下座について口を開いた。
「パフォーマンスを狙ったわけじゃない。ポーズ、演技と言われて事件が事件やし、仕方ない。自分の思いを伝えようとああいう形になったわけ。自分の思いをぶつけただけ」
土下座の最中、裁判長が何度も制止したのだが、覚えていないという。
「あの時、必死の気持ちばかりでまったく裁判長が止める声、聞こえなかった」
そして、面会を重ねると、ようやく事件について断片的に語りだした。
逮捕後、警察や検察の取り調べには黙秘を貫き、裁判ではじめて事件について語った山田被告。事件の「真相」について法廷の被告人質問では星野さんは熱中症か病気で死亡し、遺体を遺棄。平田さんは、口論になり口をふさごうとして、手が首にかかり、殺害してしまったと説明した。
だが、その主張は2人の遺族にとって納得ができるものではなく、山田被告を厳しく批判していた。
法廷についてはこう語った。
「十分に説明できたかどうか、わからない。自分は緊張して弁護士の質問に答えるのがいっぱい、いっぱい。法廷が終わって何をどう答えたか覚えていない」
裁判では、山田被告の責任能力が大きな争点の一つとなっている。
「裁判では精神病とか、なんとか障害とかわけわからんこと言われていい迷惑。そんなことどうでもいいんや」
自らの責任能力について、興味がなさ気に主張した山田被告。
何度か面会を重ねても、山田被告の話の大半は立ったままのマスコミ批判の独演会だった。そして必ず、面会時間が終盤にさしかかるとこう要求した。
「面会にくるのは、弁護士とマスコミだけや。裁判はじめるとマスコミは来なくなった。ワシ、マスコミに差し入れ目的で会うのやない。けど、だれも差し入れてくれん」