職場で同僚をデートに誘うとセクハラリスクが…
社会的お膳立てシステムの重要な柱である「職場結婚」の減少要因についても、荒川さんは次のように分析する。
「当時は、企業が社内結婚を推奨していました。しかし、これも1992年に職場でのセクハラ裁判の結審などもあり、職場での恋愛がしづらい環境になっていきました」
最近では、「髪を切ったんだね」と言っただけでもセクハラと認識されてしまうこともあると聞く。
「『デートに誘う』ということ自体が、セクハラだと捉えられてしまうかもしれない時代。
むしろそのリスクを回避するため、たとえば飲み会は男性社員だけで行うなどの『ハラミ会』(ハラスメントを未然に防ぐ会)なるものまで登場しています」
女性とお近づきになるどころか、反対に距離を置かざるをえない。これでは、職場での恋愛や結婚が減少するのも納得だ。
景気がよくなれば未婚化も解決!?
ここまで、お見合いや職場結婚など、「社会的お膳立てシステム」について話を聞いてきたが、荒川さんは「結婚は経済」とも話す。
「親世代の人たちは、社会的お膳立てシステムのほか、終身雇用など経済の安定の面でも恵まれていました。
特に、高度経済成長期の男性は定年までずっと右肩上がりで給料が上がっていくと信じていたはずです。
だからこそ、35年ローンで家を建てることに何の不安もなかった
約束された未来の安定があったからこそ、若くしてみんな安心して結婚できたわけです。それが今は、未来の安定どころか、日々の生活に窮する人たちも多い」
年収が300万円未満の割合が圧倒的に多いとされる今、結婚や子ども云々の前に、食欲などの生理的欲求を満たすだけでも一苦労。
さらに、婚活パーティーなどでは年収制限があるなど、特に結婚を望む独身男性にとってはイバラの道だ。
景気がよくなることで給料も上がり、ひとつでも将来不安が消えるのは大きな一歩だろう。
最後に荒川さんはこう話す。「だからといって、社会が悪いとか自分が悪いとか考えると、かえって負のスパイラルに陥ります
社会や自分を変えようとするのではなく、大事なのは適応力。今、目の前にある仕事や趣味に没頭したり、人とつながり、自分の中の新しい自分を生み出していくこと
そうすれば自然と自分を認められるようになるし、自己肯できるようにもなる
誰かを好きになるためには、まず自分を好きになりましょう
それが結果として、恋愛や結婚というプロセスにつながっていくと思います
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