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アメリカのロースクール、とくにLLMコースへの留学は、一般的には日本で法学部や法科大学院を卒業した人間か、すでに弁護士資格を得ている人間が行くものだからだ。この点について、国際弁護士の八代英輝氏が、留学が明らかになった当時、『昼おび』(TBS系)で、「小室圭さんって、法学部卒でもないのですよね?日本の弁護士資格もないのに、なんで国際弁護士なんでしょう」と疑問を呈していた。
ところが、彼は前代未聞の「学費全額無料」というフォーダム大学始まって以来のスカラーシップ(マーティン奨学金:Martin Scholarship)を獲得し、勤務先の法律事務所の生活費支援のもとに留学した。
フォーダム大学は、全米大学ランキング(『U.S. News & World Report』2017年)は61位、ロースクールは全米ランキングで30位以下だから、名門イエールなどに比べたらかなりハードルが低い。とはいえ、出願するには年4回実施の「LSAT」(Law School Admission Test)を受験し、ある程度のスコアを取らなければならない。さらに、留学生なので「TOEFL」のスコアが必要だ。この二つ以外に、基本的なものとして大学の成績証明書、推薦状(何通か)、パーソナルステートメント(自己アピールのエッセイ)、履歴書などが必要となる。
これらを全部揃えたうえで、彼は必要なテストで入学ラインのスコアを取ったのだろうか?
LLMコースへの留学なので、「LSAT」のスコアは必要なかったかもしれない。しかし、そうしたことを差し引いても、彼の学費全額免除は一般学生では考えられない“快挙”と言うほかない。
一説によると、エッセイで日本の皇室のプリンセスのフィアンセという点を強調したという。事実、彼は、フォーダムの学生たちから「ハッピープリンス」と呼ばれているという。
問題点はまだある。LLMコースを終えたら、JD(Juris Doctor:法務博士)コースに進学しなければ、アメリカで弁護士になることはできない。JDコースはドクター取得まで最低2年間を要し、取得後、州の司法試験(Bar:バー)を受ける資格を得られる。つまり、小室さんは、現時点で「Bar」の合格を目指している。
しかし、晴れて「Bar」に合格しても、現地のローファーム(法律事務所)で数年間のキャリアを積まなければ、国際弁護士業務はできない。また、その後、日本に帰国したとしても、日本での弁護士資格がないのだから、日本の法廷には立てない。そんな中途半端な国際弁護士を、はたして日本企業や法律事務所は使うだろうか?
さらに、まだハードルがある、それは、アメリカで働くためには、「労働ビザ」か「グリーンカード」(永住権)が必要だということ。現在、グリーンカードのハードルはどんどん高くなっていて、そう簡単には取れない。
5月16日の報道によると、トランプ大統領は、グリーンカードの発給を高技術、高学歴に基づく「メリットベース」に転換することを表明している。
現在のアメリカは、弁護士が多すぎで、過当競争時代に突入している。日本のように「弁護士です」と言っても「すごいですね」なんて反応は返ってこない。さらに、AIの発達でパラリーガルの仕事はなくなり、弁護士の仕事すらAIに置き換えられようとしている。
そんな状況のなか、なぜ、国際弁護士を目指したのか?また、代理人弁護士が明かしたように「弁護士になるとは言っていない」「人生の視野を広げている最中」だとしたら、なんのための留学なのだろうか?
いずれにしても、彼が次のキャリアのスタート地点に着くのは、30歳を超えてからである。
気鋭の社会学者の古市憲寿氏は、かつて『とくダネ!』(フジテレビ系)で、「(小室さんの)鈍感力はすごい」と“絶賛”していた。また、タレントのヒロミさんは、『バイキング』(フジテレビ系)で、「アィ、いったいなに考えているんだ」と言い、「オレ、いまアイツと言いそうになった。ごめん」と訂正したことがあった。
婚約内定会見当時の報道によると、小室さんの大好きな曲は、ビートルズの『レット・イット・ビー』(なるがままに)だという。これは、彼の人生観そのものかもしれない。