「サイゼリヤ」の客離れが止まらない理由を、コンサルタントが分析した。2015年から客数を支えた「ちょい飲み」ブームの沈静が一因だろうと指摘。加えて「全席禁煙」の施行により、客が他店に流れてしまったようだと述べた
■「ちょい飲み」ブームが落ち着いた
全社レベルでは成長が続いているので、一見すると何も問題がないように見える。しかし、主力の「サイゼリヤ」は国内で客離れに苦しんでおり、今後の成長が危ぶまれている。客離れの原因は何だろうか。
ひとつは「ちょい飲み」ブームの一服がある。サイゼリヤの客数が伸び始めたのは15年8月期からだが、この頃から「ちょい飲み」がブームになった。牛丼チェーン「吉野家」は15年から酒類とつまみを提供する「吉呑み」の本格展開を開始。ファミレス各社も参入し、「ファミ飲み」という言葉も生まれた。飲食店各社が「ちょい飲み」に参入し、市場が活性化したわけだ。
こうしたブームが落ち着くと、反動で客離れが起きているようにみえる。
■禁煙化による客離れは短期で済む
もうひとつは、「全席禁煙」だ。サイゼリヤは17年末に全店舗を禁煙化する方針を表明した。19年9月までに、喫煙ブースを設けて、客席は全席禁煙に移行するという。1月末時点では全店舗の6割強に当たる約700店が全席禁煙になった。これにより一部の喫煙客が離れていったのではないか。
■増税で据え置きも値上げも危険な道
ただ、今後の見通しは決して明るくはない。特に注意が必要なのは10月に予定される消費増税だ。サイゼリヤは、「299円」などと端数をつけて設定した価格で値引き感・割安感を演出してきた。端数価格を維持するため、14年4月の消費増税時は主要メニューで税込み価格を据え置いた。このため10月の消費増税でも、主要メニューの価格を据え置く可能性が高い。
反対に、増税を機に値上げに踏み切れば、さらなる客離れが起きる恐れがある。居酒屋チェーン「鳥貴族」は17年10月に税抜き280円均一だった価格を298円に引き上げたところ、深刻な客離れが起きた。現在も客離れが止まらず、2月の既存店客数は前年同月比3.2%減。15カ月連続で前年割れが続いている。値上げ幅や対象メニューにもよるが、サイゼリヤも同じ道を歩まないとも限らない。