夏には「永久脱毛」の広告がやたらと目立つ。ドイツ出身のコラムニスト、サンドラ・ヘフェリンさんは「ドイツでは、ワキの毛をはやしたノースリーブの女性を見かける。女性だからといって肌をいつもツルツルにしておく必要はないはずだ」という――。
■日本人は女性のムダ毛に敏感すぎる
まず、海外との違いで驚かされるのは、電車内の広告。日本で電車に乗っていると「毛」にまつわる広告の多さにびっくりします。男性の薄毛対策としての育毛剤やカツラの広告はもちろん、女性をターゲットとした「永久脱毛」の広告がやたら目立ちます。
脱毛にまつわる広告で気になるのは、「女性はやっぱりツルツルのお肌にしなくては」「脱毛で綺麗になれば夏も堂々とできる」などと、脱毛がデフォルトでありエチケットであると女性に思わせている点です。
これは人の劣等感をあおり、消費意欲を喚起する「コンプレックス広告」と呼ばれるようになり、昨年は、大手刃物メーカーが打ち出した、剃毛や脱毛を問い直す広告に反響が広がりました。
■いつまでもかなわない脱毛の無限ループ……
筆者が腕の毛をそのままにした状態で、夏に半袖を着ている時のことです。
知人の日本人男性は「中学生ぐらいの女の子だと、そういう子(処理していない子)たまにいるよね」と、筆者の腕を眺めながら話すのです。
「そんなの気にしなければいい」――それはその通りなのですが、筆者のように「日本のツルツルに洗脳されてたまるか」という強い意志をもっていても、やはり精神的にちょっと弱った瞬間にそういった「指摘」をされると、意外とこたえるものです。
そんなこんなで、筆者も根負けしてしまいました。2年ほど前の冬、ついに腕の永久脱毛をすべくサロンに通い始めました。ところが一冬ひとふゆで毛がなくなるはずが、今も完全には無くならず、今もたびたび腕の毛の照射のためにサロンを訪れています。
■ドイツでは「ワキ毛とノースリーブ」はマナー違反ではない
日本との決定的な違いは、ドイツではワキ毛を処理している女性が増えてきてはいるものの、ワキ毛を処理せずにノースリーブを着ていたとしてもマナー違反にはならないことです。
日本のように、周りが「なんだかヤバイものを見てしまった……」という深刻な雰囲気になることはありません。実際にドイツのオフィスや公共交通機関でも、ノースリーブを着ながらもワキの毛が生えている女性は見かけるのです。