6月の都議会で、舛添要一知事は野党中心に徹底追及されることが予想される。柳ケ瀬裕文都議は「舛添氏の『6月辞任』は不可避の情勢だ」と言及。都庁関係者も「一気に『舛添降ろし』の流れができるのではないか」と語った
東京都の舛添要一知事(67)の「政治とカネ」をめぐる問題で、新事実が次々と明らかになっている。まさに“疑惑の総合商社”状態だ。そんな中、都議会各会派も、6月議会で「豪華海外出張」や「公用車での別荘通い」「韓国人学校への旧都立高校貸し出し」など、数多の疑惑・問題を徹底追及する方針を固めた。都庁周辺では「6月辞任」説が流れ始めており、舛添氏は絶体絶命の危機を迎えている。
前回会見(13日)以降、発覚した主な疑惑・問題は以下の通り。
まず、舛添氏が代表を務めていた資金管理団体「グローバルネットワーク研究会」(現在は解散。以下、グローバル研究会)の収支報告書に、2012年8月、栃木県日光市の「宿泊費」約8万4000円が支出されていた。お盆の時期にあたり、「千葉県の温泉施設同様、政治資金を家族旅行に流用したのでは」という疑惑が浮上した。
参院議員時代の13年、政治資金を使ってネットオークションサイト「ヤフーオークション(ヤフオク)」で、ブロンズの裸婦像や竹久夢二のリトグラフなどを購入していたことも分かった。「財テク疑惑」が投げかけられたが、舛添氏は「海外の方と交流する際のツールとして活用している」と説明した。
政党交付金の「ネコババ疑惑」(週刊文春)も強烈だ。
舛添氏関係の政治資金収支報告書によると、代表を務めていた新党改革比例区第4支部が解散する直前の14年1月、前出の「グローバル研究会」に計約526万円が寄付されていた。このうち、約429万円は税金が原資の政党交付金だった。
グローバル研究会は14年7月末に解散したが、資金は現在の舛添氏の資金管理団体「泰山会」に寄付されていた。違法性はないようだが、事実上、国民の血税を還流したものといえる。
事務所費の問題も重大だ。舛添氏は少なくとも新党改革の代表に就任した10年以降、自宅に事務所を構える自身の複数の政治団体から、毎月44万2500円、年間計531万円の家賃の支払いを受けていた。
これらの疑惑・問題は、舛添氏に定着した「セコイ」「卑しい」「小さい」というイメージを、さらに補強した。
舛添氏の「韓国優遇」姿勢を決定付けるような資料も見つかった。
夕刊フジは18日、独自入手した都の資料「都内外国人学校(認可校)の状況」をもとに、韓国人学校の充足率が100%未満で、「旧都立高校を貸し出すことに緊急性がない」(都議)という問題を報じた。
舛添氏に対する不信感・嫌悪感の高まりを受け、都議会も放置できなくなってきた。6月1日に議会が開会されるが、野党会派を中心に徹底追及の機運が高まっている。
こうしたなか、同月9日から始まる総務委員会での質疑が注目される。
医療法人「徳洲会グループ」から現金5000万円を受け取ったとして、14年12月に知事を辞任した猪瀬氏も、総務委員会で窮地に追い込まれた。5000万円を模した白い箱をカバンに押し込もうとして、チャックが閉まらない“醜態”をさらした、あの委員会である。質疑は「一問一答」形式で行われる。
舛添氏の辞職を求める文書を知事室に提出している、おおさか維新の会傘下の「東京維新の会」代表、柳ケ瀬裕文都議は「舛添氏の『6月辞任』は不可避の情勢だ」といい、続けた。
「6月7日の代表質問と、8日の一般質問での厳しい追及は避けられない。舛添氏の答弁が不十分となれば、9日と13日に予定されている総務委員会が舞台となる。もし、舛添氏を担いだ自民、公明の両会派が総務委員会への招致を断ったら、都民が『何をやっているんだ!』と黙っていない。舛添氏をかばうことはできないだろう」
都庁関係者も「自公会派には『参院選へのダメージを避けたい』という思いもある。一気に『舛添降ろし』の流れができるのではないか」と語った。
永田町も注視している。
自民党都連のメンバーで、危機管理に精通する警察庁出身の平沢勝栄衆院議員(東京17区)は「都民の信頼なくして知事職は続けられない。信頼がなければ誰もついてこない。神奈川県湯河原町の別荘に毎週通っていたのは、危機管理上も組織掌握上も大問題だ。首都直下地震などに即応できないうえ、都庁の組織は弛緩(しかん)し、緊張感がなくなる。ともかく、多くの都民は、舛添氏の説明にまったく納得していない」と語った。