https://www.dailyshincho.jp/article/2022/07310600/?all=1
「高校野球はいいよね」「感動的だ」と大半の大人たちが口を揃える。そういう世間の支持もあって、「夏の甲子園を見直そう」などという空気はほとんどないのが実情だ。
でもあえて、「高校野球は本来、高校生のものですよ。見て楽しむ大人の都合だけで美化していませんか?」と疑問を投げかけたい。
まずは猛暑の問題だ。
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どれだけの高校球児が、「猛暑の中でやりたい」と思っているのだろうか? 「受験勉強に移行したいから秋は困る」と考える高校球児はいるだろう。ならば、選手権は前倒しして、5、6月に地方大会、7月に全国大会の案を検討したっていい。あるいは、「どうせ推薦入学、AO入試で大学に入るから、なるべく3年の終わりまで部活動を続けたい」と望む球児だってかなりの割合でいるかもしれない。彼らにとっては、「秋の甲子園」はむしろ歓迎ではないだろうか。いずれにせよ、高校生自身の考えを聞き、彼らが議論をする機会はあっていいだろう。高校球児が、高校野球の現状や未来を一切語れないいまの状況は奇妙だが、誰もそれを奇妙と思わない。まさに支配的体質が高校野球全体を覆っている。
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二部制というのは運営的に面倒や負担が大きそうだが、とにかく、猛暑対策について検討が始まったことは歓迎したい。そして、時期の変更や『他球場の使用』まで選択肢に入れた議論が始まるのならもちろん拍手を送りたい。ただその議論が、実体の見えない密室で行われるのでなく、高校球児や必ずしも強豪校ではない熱心な指導者たちの考えが反映さものであってほしい。