「実際の葬儀の場では、確かに女性の9割はアンサンブルを着ている印象です。ネット上には、パンツスーツはNGのような解説もありますが、全く問題はありません。パンツスーツを持っているなら、わざわざ新たに買う必要はないと思います。フォーマル度の序列という観点では、スカートに比べるとパンツが“低い”ことは確かですが、無作法というわけでありません。
スカートのほうが“上”とされるのは、海外由来です。パリの『公共の場では女性はスカートを着用』といった旨の条例が10年前ほど前まであったように、スカートがよりフォーマルという意識が根底にあったことが大きく影響していると思われます」(赤城氏、以下同)
赤城氏は、そもそも「許される・許されない」マナーの線引きは、“喪主が受け入れられるかどうか”だと考える。そこには「ローカルルール」の存在がある。
「例えば、世界的には葬儀の場でポケットチーフは間違いではありません。でも、日本人だと洒落っ気を出しているように見えるため、好ましく思わない人も多い。同様に日本国内でも、地域によって受け入れられるものもあるし、受け入れられないものもある。こういった温度差があることから、全国共通の“正解”を導くのはなかなか難しいというのが実情です。
もっと言えば、親族の理解にもよっても違ってきます。普段通りの金髪やネイルといった、一般的には“葬儀の場にふさわしくない”と思われそうな身なりでも、喪主や親戚が『○○ちゃんらしい』『○○ちゃんなりの弔意なんだな』などと認識し、了承していればいいのです。やはり、一番大切なのは、故人を偲ぶ想いです」