日本人初のプロのバレーボール選手として活躍した大林素子さん。子どもの頃から背が高く、周囲から「デカ林」「ジャイアント素子」などと言葉の暴力を受けてきました。さらに、その高身長ゆえに「自分の夢はかな
身長が1メートル84ある私は、幼稚園の頃から周りよりも頭一つ分高く、身体的特徴への「言葉の暴力」に苦しめられてきました。
小学校入学後も、身長は速いスピードで伸び続けました。体が大きい上、名字には“大”が入っています。男子たちの格好のからかいの的となり、「デカ林」「ジャイアント素子」「巨人」「でくの坊」「大女」など心ないあだ名をたくさん付けられました。教室で私の後ろに座る男子からも、「前が見えない!」と言われて。芸能界で仕事をしている今では、ネタとしていじられることもありがたく思えるようになりましたが、昔は本当につらかったですね。
周りからの言葉の暴力もやむことがなく、小学4年生のときには「もう死んだ方が楽じゃん」と思い詰めました。家族で暮らしていた団地の最上階だった11階に行き、2回ほど靴を脱ぎました。「でも、このまま死んだら、このつらさは誰にも伝わらない」。悔しく感じ、自分の部屋に戻って誰にどんなふうにいじめに遭ってきたのかを紙に書き殴りました。そうこうするうちに「なんで私が死ななきゃいけないんだ」と冷静になり、思いとどまりました。
バレーボール選手として知られるようになったら、私をいじめていたかつての小学校の同級生たちが実業団の練習を見に訪れたのです。「サインが欲しい」と言われましたが、断りました。心の傷は癒えていませんでした。
そして再訪されたとき、意を決して、「いじめられてすごく嫌だった」と伝えたのです。すると、彼らは「そんなつもりじゃなかった」と驚いた様子で。いじめている自覚がなかったようでした。
からかいの「いじり」と「いじめ」の線引きは難しいですが、されている方がつらく、嫌だと感じたら「いじめ」なのだと思います。いじめられた方は、どんどん追い詰められ、気持ちもふさがれてしまいます。自分がふざけて投げかけた言葉を相手がどう受け止めるか、相手の気持ちをよく考えなければいけないと思うのです。