最近、中学受験のキーワードとして「自走」という言葉をよく聞きます。『中学受験自走モードにするために親ができること』(講談社)などの著者で、首都圏を中心に家庭教師をし、中学受験のコンサルも人気の長谷…
僕のもとに相談にくる中高一貫校に通う生徒たちは、入学直後につまずいた生徒が多い。不登校になったり、学年順位が最下位層になったり。そうした生徒たちには、一つの傾向が見られます。それは、受験勉強が本格化する小4から小6の時期に「親御さんが手取り足取り段取りを考え、導いていた」ということ。親御さんたちは、受験勉強が終わるなり手を離すので、子どもたちは自分なりのやり方で主体的に勉強すること、つまり、「自走」することができなくなっているんです。
習い事をするなら、何か一つでもいいので達成してからやめてほしいと思います。目標を一つでも達成し、「よっしゃ!」という感覚を味わってほしい。そうして、小4くらいまでの間に小さなハードルを越える練習をしてきた子どもたちは、自己肯定感が育まれ、自ら勉強に向かっていけるようになります。このハードルは高すぎてはいけません。ちょっと頑張ったら手が届くという高さをいくつも乗り越えていくことで、「頑張ったらなんとかなった」という挫折と復活の経験を増やしていくことが大切です。
中学受験は無策で臨めるようなものではありませんからサポートは必要ですが、親御さんが自分ごととして捉える必要はありません。時々、模試の結果をクリックする手が震えている保護者もいらっしゃいますが、成績が悪かった際に一緒に落ち込むようでは前へ進めませんし、子どもも力むようになります。それよりも、「この期間、あまり勉強していなかったね」と過程にフォーカスするなり、「次はミスに気をつけよう」と具体的に励ますなり、メンター的な立ち位置に身を置くほうがうまくいっているご家庭が多いです。