風俗などの性産業で働く女性には、発達障害を持った人が相対的に少なくないといわれている。実際、取材で話を聞いた風俗業界のスカウトマンは、SNSでスカウト活動をする際、プロフィール欄に「発達」「ADHD」などの紹介文がないかをチェックするそうだ。なぜなら、そうした女性は勧誘しやすいのだという。
初めての性体験は21歳のとき。
彼女はネットで見つけた「女性用出張マッサージ」に連絡をし、1回3万円で初めての体験をしたという。
「すごい楽しかった。なんかかわいがってくれるし、おしゃべりもしてくれる。でも、全然お金なかったから、2回会って終わりになっちゃった。割引はダメって言われた。バイトのお金、すぐにお洋服に使っちゃうので全然残らないの」
彼女はバイトの給料の半分を母親に取られ、もう半分をすべて洋服につぎ込んでいたのだ。発達障害の特性からか、計画的にお金を貯めることはできなかったらしい。
(中略)
「普通のバイトよりは向いてた。私、朝ちゃんと起きれないし、仕事もみんなみたいにうまくできない。でも、風俗だとお仕事はお昼からだし、遅刻しても許してくれるし、店長にお弁当とかお菓子とか買ってあげると『ありがとう』って喜んでくれる。お客さんもうれしそうにしてくれる。なんかそういうのってうれしい」
そんな幸乃がたどり着いたのは、底辺風俗店だった。格安で避妊せずに本番ができるという店だ。客が支払うのは60分で6500円。そのうち幸乃の取り分は雑費など引かれて2500円だった。
厳しい条件だが、生きづらさを抱えた彼女は、それを受け入れて一生懸命に働いた。しかし、幸乃を待っていたのは妊娠という現実だった。