発達障害、特に自閉スペクトラム症のパートナーをもつ人にみられがちな「カサンドラ症候群」。近年注目されるようになってきた心身のトラブルだが、実はカサンドラ症候群に陥りやすい人には、ある傾向があるという。「もしかして私もカサンドラ?」と疑っている人は、自分の性格的な傾向を確認すると、解決の糸口が見つかるかもしれない。『パートナーが発達障害かも? と思ったときに読む本』(神田裕子著 すばる舎刊)から、抜粋する第1回では「カサンドラ症候群とはなにか」をお伝えした。第2回では、人間の気質とカサンドラ症候群の関連をみていきたい。
1.しっかり者の完璧型
長男長女に多いこのタイプは、性格が真面目で几帳面。完璧な状態を好みます。
エネルギーにあふれていて、自分自身が逆境を努力で乗り越えてきたため、相手にも同じように“生きる強さ”を期待する傾向があります。
誰かに頼ること、任せることが苦手で、他人に甘えてはいけないという思いがどこかにあります。いえ、頼る方法を知らないと言ったほうがよいのかもしれません。
2.やさしくて面倒見のよい世話女房型
(女性の場合)子どもができると仕事を辞める人が多く、仕事を続ける場合にも家庭優先に行動します。
もともと面倒見がよいので家事は嫌いではありませんが、家族よりも先に「できていないこと」に気づくため、結局家事すべてを任されることになってしまいます。
経済力のなさから、離婚できずに悶々としている人も多いでしょう。
3.普通を求めるモラル型
両親にとても愛されて育った人によく見かけるタイプです。経済的にも平均的、もしくはそれ以上の生活に慣れています。
状況に対応して自己判断・自己決定をする「自我」が育っていないことが多く、素直ではあるけれどだまされやすい一面もあります。
想定外の出来事があると不安になりやすい "世間知らず" なお嬢さんタイプです。
4.自分勝手な自己愛型
いつも愛情飢餓の状態(愛着障害)にいます。自分を大切にして欲しいと願っています。
背景には、虐待やDV、両親との関わりが少ない幼少期があります。
相手を許すことを好まず、一度でも浮気やギャンブルなどで被害を受けると、即離婚だと騒ぎ立てます。感情のコントロールや論理的に話すことが苦手で、相手を問い詰める激しさが目立ちます。自分のことを客観的だと言うものの、単に自分に有利な論理展開をしているにすぎません。
裏切られたと感じると、リストカットや狂言自殺、オーバードーズ、家出を繰り返すなど、やや演技的な行動が多く、自己愛性パーソナリティ障害と診断される人もいるでしょう。
5.劣等感の強い内罰型
何かあると、すぐに自分のせいだととらえる傾向があり、相手から強く要求されるとつい従ってしまいます。
モラルハラスメントの被害者とよく似た特徴を示し、パートナーが黙っていると恐怖に怯え、冷淡で無関心な態度を取られると、「また」自分は何かやらかしたのかとビクビクします。心のどこかで見放されるのが怖いと思っています。
カサンドラ症候群だけでなく、うつ病や不安障害になる可能性も否めません。
なお、こうした性格タイプの他に、カサンドラさん自身も定型発達ではない場合や、愛着障害やパーソナリティ障害、アダルトチルドレン、HSP※傾向があるかどうかも、パートナーとの関係に影響を及ぼしている要因となることがあります。