「利権を白日の下に晒(さら)すのが、もともとの私の仕事です。いまいちばん関心があるのが、東京五輪関連の予算がどんどん膨れ上がっていることです」
元東京地検特捜部副部長の若狭勝衆議院議員(59)の眼がきらりと光った。利権追及で小池百合子東京都知事(64)とタッグを組む若狭氏が狙うのは、一人めの“ジジイ”こと森喜朗東京五輪組織委員会会長(79)率いる組織委の事務所。その高額な賃料を問題視する。
「組織委の事務所は虎ノ門ヒルズにあります。公表された資料や私が得た情報によれば、その家賃は月額4300万円に上っています。年間で5億1600万円。五輪開催の2020年まで借りれば、トータルで30億円を超えます」
組織委は、選定理由について「虎ノ門は、政府機関などと近接し、都庁とベイエリアなどの中間地点に位置しています。海外要人の訪問も多いため、セキュリティ面を確保する必要があります。総合的に判断して決定しました」(戦略広報課)と答えた。
だが、この説明では若狭氏はとうてい納得できないという。
「庶民の感覚では、4000万円の賃料は高いでしょう。合理的な説明ができないまま、多額の出費を続けるなら、職員が背任罪を追及されることにもなりかねません。
逆に、批判をかわそうと賃料を下げれば、その差額分が(大家の)森ビルから組織委への『賄賂』とみなされる可能性すら出てきます」
じつは、組織委が虎ノ門ヒルズへの入居を決めたのとほぼ同時期に、森会長の事務所が、虎ノ門に引っ越していた。偶然にしては不自然さが拭えない。
さらに、750人程度の組織委職員数が、4年後には約10倍の7000人になる見込みだ。事務所は手狭になり、フロアの増床が必要になる。結果、より高い賃料が血税で賄われるのだ。
若狭氏の元には、数多くの情報が寄せられているという。なかには、都議会のドンと呼ばれる内田茂氏(77)の情報もあるという。「チーム小池」によって、相貌を現わしてきた利権の構造。包囲網は着々と狭まっている。