所得が低いほど食事の栄養バランス偏る?
■低所得の人ほど…米やパン、麺などの穀類をよく摂取している
2014年「国民健康・栄養調査」では、米やパン、麺など穀類の1日当たり平均摂取量は、高所得層(=世帯所得600万円以上)の男性は494(女性352)グラムだったのに対し、中所得層(同200万~600万円未満)は520(同359)グラム、低所得層(同200万円未満)は535(同372)グラムで、低所得ほど多かった。
低所得者ほど穀類摂取=肉野菜少なく、食事に偏り-喫煙者は増加・厚労省調査〔2015年12月9日 時事ドットコム〕
■一方で、野菜の摂取量は低い
野菜の摂取量については高所得層は男性322(女性313)グラム、中所得層は男性288(女性284)グラム、低所得層では男性253(女性271)グラムだった。
低所得者ほど穀類摂取=肉野菜少なく、食事に偏り-喫煙者は増加・厚労省調査〔2015年12月9日 時事ドットコム〕
■肉類もあまり摂っていない
肉類の摂取量については所得600万円以上は男性122グラム、女性83グラム、200万~600万円未満は男性111グラム、女性78グラム、200万円未満では男性101グラム、女性74グラムだった。
平成26年 国民健康・栄養調査結果の概要〔2015年12月10日 厚労省(PDF)〕
所得が低くなるほど健康管理もおろそかに?
■低所得の人ほど…健康診断を受けない
国民健康・栄養調査によると、健康診断を受けていない人の割合は、600万円以上の男性で16.1%だったのに対し、200万円未満では42.9%にのぼり、所得が低くなるほど高くなっていた。
所得低いほど栄養バランスよい食事取れず〔2015年12月13日 NHK〕
■特に女性は喫煙率が高くなる
喫煙者の割合は、特に女性では、所得600万円以上が5.6%であるのに対し、200万~600万円未満は9.2%、200万円未満は3倍近い15.3%だった。
低所得者ほど米・パン摂取 厚労省調査、野菜・肉類は少なく 〔2015年12月10日 日本経済新聞〕
■歯の数も少ない
「歯の本数が20本未満」と答えた人の割合は、男性では所得600万円以上で20.3%だった一方、200万円未満では1.7倍の33.9%だった。この傾向は女性でも同じで、所得が低いほど歯の本数が少ない割合が高かった。
所得低いほど歯の本数少ない、厚労省調査〔2015年12月9日 TBS Newsi〕
■歩かなくなる
一日の歩数の平均値は、特に男性では、所得600万円以上が7592歩で、200万~600万円未満が7606歩であるのに対し、200万円未満は6263歩と1000歩以上の差がつく。
平成26年 国民健康・栄養調査結果の概要〔2015年12月10日 厚労省(PDF)〕
■肥満の割合が高くなる
「肥満」の割合は、男性の場合、所得200万円未満は38.8%で、600万円以上の25.6%と比べて1.5倍だった。
所得低いほど歯の本数少ない、厚労省調査〔2015年12月9日 TBS Newsi〕
■特に中年男性は入院する割合も高い
千葉大の研究チームの研究結果(11月発表)では、性別に関係なく、すべての年齢層で、所得が低くなるほど外来での受診割合が低下することが判明。また、40~59歳の中年男性は、所得が低いほど入院する割合が上昇することがわかった。401万円以上の所得では3.9%だった入院割合が、無所得で5.6%にまで増えた。
低所得者ほど通院控え入院増 千葉大調査〔2015年11月17日 毎日新聞〕
■低所得家庭の子供は学力も低い?
「子供の学力が世帯年収と正比例」(お茶の水女子大)
お茶の水女子大学の研究グループは2009年、世帯年収を12段階に分け、国語と算数の平均点を調査した。結果、世帯年収200万円未満と1200~1500万円の世帯では正答率に約20ポイントもの差があり、世帯年収と子供の学力が正比例したという。
お茶の水女子大学委託研究・補完調査について〔2009年8月4日 お茶の水女子大学・耳塚寛明教授〕
「正比例することは業界内では“公然の事実”」(大手進学塾勤務経験者)
大手進学塾に勤務経験のある男性は「両親の所得と子供の学力はきれいに正比例する。これは業界内で“公然の事実”」と話す。大手塾では、両親の年収や学歴、居住地域などのデータをとることも多く、データから所得による学力格差が見て取れるという。
家庭の所得が低いほど子どもの学力は低下する?〔2012年4月27日 週刊ダイヤモンド〕
所得の違いは消費行動に現れる?
■低所得者の89%「宝くじは買わなきゃ当たらない」
日刊SPAが低所得者(年収300万円台以下)のサラリーマン200人に行ったアンケート結果では「宝くじは買わなきゃ当たらない」との回答者が89%に上った。宝くじで一獲千金を夢見る人のほか、中には「株はリスクを伴うので興味ない」(33歳・問屋)と、ギャンブルと投資を同一視している人も多かったという。
低所得者の消費行動を調査 その共通点とは?〔2014年10月13日 日刊SPA〕
■米国でも類似傾向…「低所得者は年間所得の5%を宝くじに費やす」
米国の調査結果では、年収1万3000万ドル(約114万円)以下の家庭では、平均すると1年に645ドル(約5.6万円)を宝くじに費やしていることが分かった。研究チームは、自分自身の所得が一定水準を下回っていると感じると、人はリスクを取りがちになり、貧困のワナにも陥りやすいとしている。
なぜ所得の低い人ほど宝くじを買うのか〔2012年10月19日 PRESIDENT Online〕
■低所得者の87%が「流行モノはいつ買うの?今でしょ」に「Yes」
日刊SPAのアンケート調査では、低所得者の87%が「流行モノはいつ買うの?今でしょ」に「Yes」と回答。“新作”や“流行”というキーワードには弱い傾向がみられたという。
肥満ぎみ、高い喫煙率、歯も少ない―。低所得者の生活習慣の傾向が、国の「国民健康・栄養調査」などで浮き彫りになっている。これまでも漠然とイメージされてきた内容といえないこともないが、数値化を経てどう事態改善につなげられるかが肝心だ。