若い女性がアダルトビデオ(AV)に無理やり出演させられる被害が広がる中、支援団体の - Yahoo!ニュース(withnews)
■販売停止までの道のり
つらい過去に向き合い、今夏、行動を起こしたのが、ユーチューバーのくるみんアロマさんだ。7月8日、都内施設で被害者支援団体の相談員の女性2人と向き合った。くるみんさんは13年、2本のAVに出演した。
長年、「本格的に音楽活動をしたい」という夢を抱いてきた。「AVに出れば後押しする」と語った所属事務所の「社長」を信じた。だが音楽活動を後押しする動きはなかった。今は「だまされた」と振り返る。
相談員は聴取をもとに、「出演強要」にあたると判断。その場で作品を出しているAVメーカー1社(知的財産振興協会「IPPA」加盟)と、ネット上で作品を取り扱っている大手販売会社3社に対して、さらなる流通、販売停止を求める「通知状」と題する文書の作成を始めた。
■本人の署名後に「内容証明郵便」
文書は本人の署名後、「内容証明郵便」で郵送した。一連の相談は2時間ほど。相談は無料で、初回に限り文書を送る際の実費も支援団体が負担している。文書は本人の意向に基づき、AV女優名だけで送るか、本名とAV女優名を両方明記して送るかを決めているという。
数日後、販売会社のうち1社からは、「戦略的検討その他諸般の事情により」「対象となる商品の販売および販売のための掲載を中止」するとの文書が支援団体に届いた。ほか2社は連絡がなかったが、相談員がネット上で掲載中止になっていることを確認した。
AVメーカーからは10日ほどして、回答文書が来た。「当社が貴殿(くるみんアロマさん)を騙(だま)したり、脅したり、貴殿の意思に反してアダルトビデオに出演させたりした事実は全くありません」としつつも、「諸般の事情を考慮して貴殿の出演する当社作品の販売を中止することを決定しました」と知らせてきた。
くるみんさんは現在、ネット上に拡散したAV出演時の画像を削除していくか検討中だ。グーグルに検索しても画像が表示されないように要請するほか、無断でアップしているサイトに個別にメールを出して削除を要請する。支援団体の相談員は、「地道に要請を続ければ、完全ではなくても不本意な画像はかなり減らせる」と語る。
くるみんさんは「出演AVが速やかに流通、販売停止になりほっとした」と話したうえで、業界に対する意見を添えた。
「女性が無理やりに出演させられた作品で、AVメーカー、販売会社などが利益を上げることはおかしい。こうした作品が生まれないように業界は動くべきだし、強要被害にあった女性からの取り扱い停止に対する訴えにはきちんと向き合うべきだ」