若い女性がアダルトビデオ(AV)に無理やり出演させられるなどの強要被害が社会問題化する中、AV業界は11月中旬、年に1度の大規模「ファン感謝祭」を開いた。会場はファンの熱気があふれ、女優の笑顔とカメラのフラッシュが満ちていた。「チラシは捨てないで」などという「業界ルール」を初めて体験しつつ、多くの
若い女性がアダルトビデオ(AV)に無理やり出演させられるなどの強要被害が社会問題化する中、AV業界は11月中旬、年に1度の大規模「ファン感謝祭」を開いた。会場はファンの熱気があふれ、女優の笑顔とカメラのフラッシュが満ちていた。「チラシは捨てないで」などという「業界ルール」を初めて体験しつつ、多くのアジア人も足を運んだ現場を歩いた。(朝日新聞経済部・高野真吾)
■7冠に輝いた高橋しょう子さん
「一時期、活動を休止していた時があるんですけど、皆さんが戻ってきてと声をかけて下さって、今日こうして皆さんの前に戻ってこれて、本当に、本当にうれしいです。これからは立ち止まらずに、みなさんと一緒に突き進んでいきたいと思います。本当にありがとうございました」
10日昼、元グラビアアイドルのAV女優、高橋しょう子さんが舞台上から涙声であいさつした。身動きが取れないほど多くの人が詰めかけた会場からは、無数のカメラのフラッシュがたかれた。壇上の高橋さんは、青いドレス姿で大きなトロフィーを抱えた。
高橋さんは、AVを「とってもキラキラしていて、華やかな世界」と表現し、「総合賞という素晴らしい賞を頂けたのは、この素晴らしい世界を私が広めていこうという、そういう使命だと思っています」とも語った。
11月10、11日の2日間、開催されたのは「ジャパン・アダルト・エキスポ(JAE)2016」。高橋さんはJAEの会場で授賞式があった「AV OPEN 2016」で、賞金総額150万円の「総合グランプリ」など合計7冠に輝いた。その受賞あいさつが、冒頭の言葉だ。
■「Private」イベント名伏せる?
JAEの主催はAVメーカー200社などで構成し、海賊版対策などをしているNPO法人「知的財産振興協会」(IPPA)だ。2014年から始まり今年で3回目になる。
入場料は2日券のみで、前売りで3500円、当日4千円(税込み)。IPPAによると、出展はAVメーカーなど68社と1団体で、2日間で延べ約4千人が足を運んだ。
会場は江東区の「ディファ有明」という多目的ホールだった。ホームページを確認すると、11月は他に「格闘技」や「コスプレ」のイベント案内があったが、10、11日は「Private」という表示になっていた。
(中略)
■「午前4時半から行列」
両日とも、午前10時の会場オープン前から大行列だった。最寄りの東京臨海新交通「ゆりかもめ」の「有明テニスの森公園」駅の近くまで列まで人が立っていた。数百人が並んでいただろうか。20、30代に加えて、白髪交じりの50、60代の姿もあり、1割ほどは女性だった。
雨となった11日、最前列の若い男性に並んだ時間を聞いた。「きょうの午前4時半からです」。自宅から1時間かけて歩いてきたという。
会場入り口には「18歳未満入場不可」の貼り紙があり、来場者は写真付き身分証明書の提示を求められた。海外からの来場者は、パスポート指定だった。会場内では台湾、韓国の男性と話をし、多くの外国人を見かけた。JAEサイトが、一部英語表記にしていたのも納得だ。