「Thinkstock」より ギャンブルや投資、消費者金融など、うかつに手を出すと大やけどを負うものは少なくないが、やけど程度では済まないのが18歳未満の青少年…
■「婚前交渉」「真剣交際」ならセーフ?
そして、淫行条例をさらにわかりづらくしているのが、民法の規定との矛盾だ。民法では、親の同意があれば結婚できる女性の年齢の下限が16歳と規定されている。このため、18歳未満と性交渉に及んでも「婚前交渉」や「真剣交際」なら許されると思われがちなのだ。
ところが、奥村氏によれば、本人同士の合意があっても、保護者の同意がなかったり交際期間が短かったりすれば、条例違反になる可能性があるという。
「淫行条例に抵触しているか否かの判断要素は、都道府県ごとに少しずつ異なります。とはいえ、主に考慮されるのは、『年齢差や、女性が婚姻可能年齢に達しているかどうか』『性行為に至る過程(会っていきなり行為に及んでいないか、立場の利用がないか、酒・薬物を伴っていないか)』『交際の態様(保護者が了承しているか、人格的結合があるか)』など。そのため、当事者が『婚前交渉』『真剣交際』と思っていても、それで足りるとは限らないのです」(奥村氏)
■条例違反になるか否かは相手の態度次第?
もっとも、中には淫行条例の壁を乗り越え、18歳未満と男女の関係になって結婚に至った人も存在する。16歳の女子と真剣交際の末に入籍したという梨田貴司氏(仮名)は以下のように語る。
「今の妻とは、私が30代で彼女が14歳だった約10年前に出会い、入籍したのは彼女の16歳の誕生日でした。妻が14歳のころから千葉県内で同棲し、当然『婚前交渉』もありました」
千葉県の淫行条例では、第20条に「単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない性行為又はわいせつな行為をしてはいけません」と明記されている。建前上、真剣交際であれば条例違反ではないという見解だ。
そのため、「本人が『真剣交際だった』と固く主張したら、警察も立件のしようがないのです」と梨田氏は主張する。
千葉県以外でも、たとえば、大阪府などでは「威迫し、欺き、又は困惑させて」と条例で「手段」を限定しているために立件されにくいという。
しかし、淫行条例がわかりづらく危険なのは、都道府県によっては基準が緩い場合があるといっても、それは条文上にすぎず、実際に立件されるケースが頻繁に起きていることだ。
梨田氏自身、「こちらがいくら『婚前交渉』『真剣交際』を主張しても、相手側の態度によっては立件される可能性がおおいにある」と語る。
「最初はお互いに真剣交際していたつもりでも、事情聴取の段になると、相手側が発言を覆すことがよくあります。誘導尋問する警察官もいて、『彼はあなたの体が目当てだったんじゃない?』などと聞かれたら、つい女の子も『そうです』と肯定してしまうのです。
また、すでにその相手との関係が終わっていたとしても、女の子に新しい彼氏ができた場合は危険です。過去の関係を知った彼氏が怒って警察に通報し、逮捕されるというケースもあります」(梨田氏)
淫行条例違反となるかどうかは、結局のところ、18歳未満の側の発言内容によって左右される面も否めない。そういう意味では、「婚前交渉や真剣交際と主張すればセーフ」という考え方も危険だ。いくらこちらが真剣交際と思っていても、相手がそう思っていない可能性もあるからである。
「18歳未満の女子とでも、本当に相手を大切に思い、そういうチャンスがあるのなら結婚してもいいのではないか、と個人的には思っています。恋愛のかたちは人それぞれですから。ただし、そのときは相手の心変わりも含めて、すべてを失う覚悟が必要でしょう」(同)