ホストクラブに毎日通う女子の日常を取材している。月に300万円使う女子は20時半までソープで働き、22時過ぎには歌舞伎町へ。通常営業では、その日自分がソープで稼いだ金額の半分までを使うという
月に300万円使うサヤちゃんの生活は単調である。
毎朝8時に起きてシャワーや化粧などの支度を終え、10時には最寄りの高田馬場の駅で山手線に乗る。鶯谷で降りて店の迎えの車に乗り込み、11時から20時半までソープのキャストとして働く。
手取りが1本約3.5万円の準高級店だが、やや変則的な出勤時間が認められたのと、フリーの客の入りが良いと聞いてすぐに入店した。ソープで働く前は池袋のセクキャバに勤めていた。
20時半ぴったりに上がれた場合、サヤちゃんは急いで一度自宅に戻り、シャワーを浴び再び化粧をして、22時過ぎにタクシーに乗って歌舞伎町に向かう。2年近く通っている大手グループのホストクラブに行くためである。
彼女の担当ホストは彼女が到着すると同時に店から一度下まで降りて来て、一緒に店に入る。VIPルームの一角にはすでにサヤちゃんのキープボトルが並べられた「指定席」が用意されており、彼女は手慣れた様子で割りものや缶ビールなどを注文する。担当ホストは大抵そのまま5分くらい彼女の席につき、その後はシャンパンコールか送り出しの時間まで戻ってこない。
(中略)
■ホスゲル係数は限りなく100に近い
ホスゲル係数なんていう言葉はないが、彼女たち2人の収入におけるホストクラブ費用の割合は限りなく100に近い。毎日店に行くには資金のほか、その時間帯の自由も体力も奪われる。稼ぎどきの時間帯には出勤できず、そのため他の時間帯は仕事の予定で埋まる。
別に有り余る若さと体力を何に使おうがもちろん女の子それぞれ個人の自由であり、むしろ人を騙したり親を騙したりして得たお金で豪遊しているよりも余程好感度は高い。
彼女たちは彼女たちが自分にいつのまにか課している毎日行くという、一度に高額を使うよりも難易度の高い義務をこなすために、多くの場合には受け取ることができるであろう報酬も放棄して日夜忙しく過ごしている。
担当ホストが着かない席で気だるくヘルプたちと話し、営業後に「どっか連れてって」などとごねることなくさっさと帰り、むしろ自分の担当ホストにすら日常のルーティーンを崩されるのを嫌がる。