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匿名さん
僕の人生の一時期を悪しく牛耳ったあの出来事を、あの数年間をなかったことにするかのように、つき続けてきた嘘は、自分自身をさらに深く傷つけるだけでなく、世の中のためにもならないことを今ごろ悟ったのだ。僕はバカだった。
僕はかつてジャニーズ事務所に所属していた。そして、一時期、「光GENJI」というグループの一員だった。そのとき、僕はアイドルだった。一瞬のアイドルだった。嘘つきで卑怯で傷ついた、悲劇のアイドルだった。
その背後には「ジャニーズ」という帝国が君臨していた。恐怖政治で僕を飼い犬にしていた帝国を独裁していたのは、一人の初老の男だった。
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匿名さん
その下では、ジャニーズアイドルという奴隷たちが、いつも飢えさせられていて、飢えをしのぐために大切なものを彼に差し出していた。
そうだ、ジャニーズのタレントたちはみんな大嘘つきだ…
「世界にひとつだけの花」と唄う彼らの、その華やかな大輪の花の根はすでに腐っている。彼らの重い過去と偽りの日々の下では、美しい歌も悲しいまやかしの言葉でしかないだろう。
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匿名さん
どんな栄誉を受けようと、彼らの払拭せざるおぞましき体験の上では、砂の城のようなはかないものでしかない。その帝国に住むすべての人間が、そのコンプレックスに苦しみながら、無理に笑っている。彼らを、僕を嘘つきにしたのは誰だ!
僕らを狂気に陥れたのは誰だ!
ジャニーズ事務所で起こったソドムの饗宴を、僕がすべてここにぶちまけよう!僕はもう嘘つきではいられない…。僕は犬ではない。一人の人間なのだから。
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匿名さん
決して名誉を抱えたまま死なせはしない。あなたに二年間、おもちゃにされた人間だからこそ、今、僕が真実を語る。
ジャニー喜多川との出会い
「ジャニーズ事務所の社長がお前に会いたいって言ってるんだよ」友達のO君が僕にそう告げたのは、高校一年生の秋だった。十五歳のときだ。「え?ジャニーズ? ジャニーズって、たのきんがいる、あの?」「そう、ジャニー社長」「なんで僕に?」
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匿名さん
O君は少し前からジャニーズ事務所の研修生としてレッスンを受けていた。彼は自分で履歴書を送り応募したのだが、ある日彼がレッスンをしているときに、ジャニーが現れ、こういったという。「YOUの履歴書の写真に一緒に写っている、この子、一度会いたいんだよ」ジャニーが指さしたのはO君のとなりで小さく映っていた僕だった。タレントという仕事に興味があったのは確かだし、これは一種のスカウトなのかもしれない。とりあえずは、半信半疑でO君の指示通りに資料の履歴書や写真を事務所宛てに送った。
いきなり初めての合宿所で!
ジャニーさんは、「面接するだけだ」と言いながら、僕を別室に連れて行く、二人だけになった。香水の臭いが異様にきつく、僕は眩暈がしそうだった。「YOU!ここに座って!」
ジャニーさんは自分の傍の椅子に僕を座らせ、やはり頭を振りながら僕を見つめた。「YOU!ここに座って!」ジャニーさんは自分の傍の椅子に僕を座らせ、やはり頭を振りながら僕を見つめた。
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匿名さん
「YOU!かっこいい!かっこいいよ!ユーならすぐにデビューできるよ!今度、雑誌の『マイアイドル』の取材があるからYOUを出してあげるね!」
まるで少年のようにはしゃぐおじさんと、そんな夢のような話に呆然としている僕。と、その時だ、ジャニーさんは僕の口の中へ自分の指を差し込んできたのである。状況が理解できない僕はされるがまま。いったい、何を?
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匿名さん
「う~ん、YOUは歯並びが良くないね。すぐに治さないとね」ジャニーさんはそう言いながら、さらに僕の唇、歯を指でさすってうっとりしている。しばらくその行為が続いたが、僕はタレントとして歯は大切なのだろうと無理に納得していた。
その後、「着替えをもってきたか?」と聞かれたので、「ハイ」と答えた。いったん、レッスン場に戻ると、「今度、少年隊のコンサートがあるからそれのリハーサルをやってるいるんだよ」と説明してくれたので、僕もレッスンを一緒に受けるのだとばかり思っていたが、違った。
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恒例 アワ風呂の儀式
ジャニーさんはグレーの部屋着に着替えてやってきた。「YOUも着替えなよ 奥の部屋に案内してやろう」と、僕の手をひっぱった。O君も当然一緒に来るものだと思っていたが、彼は僕を無視して一人でテレビゲームをし始めたのである。
僕の手をしっかり握っているジャニーさんは、初対面よりさらに小さくなっていた。それは、厚底のシークレットブーツを脱いだせいであると、足を見てわかった。なにしろ、膝下が二0センチ以上も短くなっているのだ。身長にかなりのコンプレックスを抱えているのだろう。
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匿名さん
奥の部屋に入ると、そこではやけにかっこいい少年が二人で雑談していた。よく見ると、「男闘呼組」の成田昭次と岡本健一だった。たった半日にして、これほどまで多くの有名芸能人に出会うなんて、まるでウソのようだった。
マンションだというのに、いったいいくつの部屋があるのだ。この部屋でも十五畳はあるかと思われる広さで、やはりテレビとソファーが置かれている。その部屋を通り抜け、次の六畳間ほどのスペースには、日焼けマシンと個室サウナが据え付けられていた。僕はさらに奥に連れて行かれた。
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匿名さん
著者プロフィール
1970年生まれ。15才の時にジャニーズ事務所に入る。ジャニーズジュニアとして雑誌やテレビで活動、「桜隊・予備軍」を経て、「光GENJI」でデビューの予定であったが、幻と終わった、その経緯は本書に詳述。本書では文中、デビュー時に芸名とする予定だった「木山将吾」を使用した。
ジャニーさんはその部屋に入ると、なぜか扉の鍵をかけた。薄暗いその部屋には大きなお風呂と洗面場がある。「さあ、着替えなよ。楽にして
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匿名さん
ジャニーさんは笑いながら、じっと僕を見つめている。なんだか恥ずかしいと少しは思いながらも、いや。男同士なんだからと、僕は気兼ねないそぶりで着替えをした。
しばらくすると、ジャニーさんは湯げが立ちこもる風呂場へ行き、何かし始めた。ふいに。「さ!YOU、お風呂に入りなよ」と僕に言った。なぜ?今、わざわざスウェットに着替えさせたばかりだというのに。
だが、そのときの僕はとにかく舞い上がっていた。御殿のような合宿所に、アイドルたちがたむろしている部屋。なにもかもが初体験で、僕は思考停止状態だった。
とにかく服を脱ぎ、風呂場に入ってみると、そこにはハリウッド映画でしか見たことないような、円形の大きなバスタブが泡で一杯になっていた。
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匿名さん
僕がそこに足を踏み入れようとしたそのとき、いきなり自らも服を脱いでジャニーさんが入ってきたのだ!
「あっ!」と、思ったのもつかの間、ジャニーさんは当然のように、「YOU!アワ風呂なんて初めてでしょ? この中で石鹸をつけて洗うんだよ」と、あっけにとられている僕を湯船に誘導し、そして、いきなり石鹸を持った手で僕の背中を洗い出したのである。それはもう絶妙のタイミングで、僕には返答する間もなかった。
背中から胸、腰に手が来たとき、さすがに僕は自然に股間を両手で覆った。ジャニーさんはそれを無視して、尻からもも、ふくらはぎから足の指先まで僕の前身を泡でいっぱいににしながら、まるで幼児を洗う母親のように洗うのだ。その様はかいがいしいともいえるほど丁寧で、僕は「何で?」といった疑問の声をあげられなかった
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匿名さん
そのうち、僕の股間の手をはずし、性器をシャカシャカと泡立てた。「え?」と思った次の瞬間には、また、僕の手をとり、その手を股間に戻す。「え?」と再度、あっけにとられている間に、また、股間の手をはずし、石鹸をつけてシャカシャカシャカシャカ…そのときのジャニーさんの表情は無表情で、それが当たり前のことのような、いわば親が幼児を洗うように、それが当然だという感じだった、「何するんですか?」などと抵抗するのがおかしいような気分にさせるのだ。
普通に生きてきたらそんな奇妙な行為に対して疑問が湧くが、それがこの場所、この時間、そしてジャニーさんが相手だとあまりに混乱してしまう。結局僕はされるがままだった。
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匿名さん
だが、そのときはそれ以上の行為には発展せずに、すぐにシャワーで洗い流され、僕はその奇妙な体験からようやく逃れた。その後、風呂からあがると、今度は僕の体にかなり匂いのきつい香水のようなものを塗ってきた。立ち上る甘ったるい香りにむせそうになりながら、「これ、何ですか?」と僕が聞くと「これは肌がきれいになるローションなんだよ。ジャニーズのみんながつけてるんだよ」とやさしく答えた。
僕はその匂いに包まれながら、放心状態で隣室のソファーベッドに倒れこんだ。すると、そこにジャニーさんが覆いかぶさってきた。「YOU!マッサージをしてあげるね」
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匿名さん
ジャニーさんはそういいながら、僕の体を揉んできた。その手先はとても器用に筋肉を揉み解していく。それを拒否する気にはなれなかった。これは好意なのだからと自分に言い聞かせた。僕の耳元に熱い息がかかる。「YOU!」これから忙しくなるよ。
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匿名さん
すぐに雑誌の「マイアイドル」の取材があるし、コンサートやテレビ番組もいっぱい出るんだからね」「え?もう決まっているんですか?」
ジャニーさんは甘い声でささやきながらも、マッサージの手をやめない。「僕の言うとおりにしていれば間違いないよ。YOUは特別なんだからね」「…はい」「あ、これはOくんには内緒だよ、いいね」ジャニーさんはそう告げると、僕の頬にキスをして、僕から離れ、部屋を出ていった。しかし、すぐに部屋に戻り、「YOU、ご飯を食べよう、Oくんも待ってるよ」と、状況が呑み込めないまま放心した僕に言うのだった。
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匿名さん
合宿所ではアタリマエなアノコト
初老のおじさんが頬にキスをする。この時点で通常ならば、「オカマかな?」「ホモかな?」と思うに違いない。僕も、「変なおやじだ」と感じていた。しかし、そんな疑念は、「デビューだよ」の言葉で紛れてしまった。
大きな食卓につくと、そこにはすでに岡本や成田、中村繁之やジュニアの二人、そしてOくんが着席していて僕を迎えた。僕はかなり強烈な香水の香り、ジャニーさんと同じ香りをさせているはずだ。それが恥ずかしかったのだが、三人とも顔色一つ変えなかった。
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匿名さん
献立はすきやきだった。もうすでに香ばしい匂いがたちこめて、食べ盛りの僕は目の前の鍋ごと口に運びたいぐらいの空腹に襲われた。「すげえ、霜降り牛だ!」イヤシサも頂点に達しそうだったが、隣の席に座ったジャニーさんは僕の器を手にとり、溶き卵を作ってくれ、肉をそれに浸して、「はい、YOUは肉が好きなんだよね、ハイ!」と、新婚の新妻のように、僕の口元までその肉を運んできたのだ。「いや、あの、自分で食べます」
僕はさすがにそれをパクリとやることができなかったが、ジャニーさんは構わず「いいから、いいから」と強引に僕の口の中に入れようとする。僕はあきらめ、素直にそれを口に入れた。うまい、もちろん、うまかった。だが、こんな恥ずかしいこと、僕はみんながさぞ笑って見ていることだろうと、恐る恐る食卓を見回した。
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匿名さん
だが、どうしたことだろう。どの人も、O君さえも、まったく僕のことを無視して、もくもくと食事をしている。考えられない。普通の生活をしている人間には、こんな状況は考えられないことじゃないのか?
ジャニーさんは自分が食べる間も惜しんで、僕の口に上等な肉を運ぶ。その前にはご丁寧に「フーフー」までしてくれるのだ。いたたまれなくなった僕は、「もうお腹がいっぱいですから」と、ウソをついた。本当はもっと食べたかったが、これ以上、こんなことはできない。
そして「トイレへ」と言って席を立とうとすると、ジャニーさんも立ち上がり、僕の手を握り、「こっちだよ」と案内してくれようとする。トイレから出てくると、驚くことにジャニーさんも立ち上がり、僕の手を握り、「こっちだよ」と案内してくれようとする。
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匿名さん
トイレから出てくると、驚くことにジャニーさんは忠犬のように、ドアの外で待っていた。そして、また手をとられ、僕は居間に戻された。
食後のイチゴが出され、そのイチゴもジャニーさんの手によって僕の口に運ばれた。僕はその行為に何ら関心を示さない周囲の人間たちに不安を覚えた。どうなってんだ、ここは?
居間では大型のスクリーンでファミコンをするO君たち。ジャニーさんはその横のソファーに座り、僕の手をとって抱き寄せ、自分の膝に僕を座らせた。「YOU、今度の土曜日にまたおいで。今後のスケジュールの打ち合わせだよ」「は、はい」「YOU、合宿所では好きなようにしていいんだよ。欲しいものがあったら何でも僕に言って」