匿名さん
ヤバすぎる風俗の経営者が足を洗った事情 | 読書
今回も『デリヘルドライバー』(駒草出版)の執筆を通して出会ったデリヘルドライバーの人生を紹介したい。前回の「運転のプロが職場に『デリヘル』を選んだ必然」でも触れたが、もともと日本のセックス産業は、東…
長文のため一部抜粋
出所後のKは妻と2人、西武国分寺線の恋ヶ窪に1Kの安いマンションを借りて暮らし始める。会社勤めの妻の給料だけではやっていけないので、夕刊紙の三行広告でデリヘルドライバーの職を見つけた。
車は自分持ちという条件だったが、妻がスズキの軽自動車ワゴンRを持っていたので、それを使った。「風俗に復帰して、何か感じたことはありました?」と聞くと、「女の子が変わったよね」と言う。
ホテトルの頃はまだバブルの残り香があった。ブランド物が欲しいとか、ホストに貢ぐ女が多かった。オナクラの時代になると、「コスプレをしたいから」という理由で風俗に来る娘もいた。「女にもオタクがいるんだ」と驚いたものだ。
それが、Kが刑務所にいる間にすっかり変わっていた。
真面目な娘がほとんどだった。親の借金を返したい娘、大学の授業料を自分で稼いでいる女子大生。この国は、いつの間にこんなふうになってしまったんだ? ハンドルを握りながら駒井は思った。まるで、浦島太郎になったような気分だった。
出所後、若頭の下に戻って、もう一度風俗経営に乗り出すということは考えなかったのだろうか? そう聞くと、「それはないです。あそこで、逮捕されたときで俺の人生は終わったと思ってるから。あのとき死んでいても別によかったかなと思う。今の人生は、禊(みそ)ぎのようなものです」と答えた。