匿名さん
則雄の家に遊びに行ったときのこと。ある新興宗教団体が発刊している小冊子がテーブルの上に置かれていた。ソファーに座ってテレビを見ていた彼に聞いた。100人と見合いした41歳女性が受けた仕打ち | 仲人はミタ-婚活現場からのリアルボイス-
国木田知恵(41歳、仮名)が、私のところに婚活相談に来るのは、これで2回目だった。自立して生活をするバリキャリで、スラリとした長身の美人だ。最初にやってきたのは昨年末のこと。そのときは、大手結婚相談所…
「この宗教に入っているの?」
「ああ、名前だけな。両親は熱心にやっているけれど」
「私、その団体は好きじゃないよ。結婚して家計から寄付金を出すとか嫌だからね。それに、どんなに勧められても私は入らないよ」
その一言が、また怒りを買った。
「なんだ、その言いぐさは! 俺はしぶしぶ名前だけ入れてるんだよっ!!」
目の前のコップを知恵めがけて投げつけてきた。それが知恵の体に当たった。物を投げつけられたのは初めてで、頭の中が真っ白になった。暴言を吐くものの、知恵には手を上げなかったのに、初めて暴力を振るわれたような気持ちになった。
「何するのよー!」
とっさに近くにあったボール紙を丸めて、則雄に向かって投げつけると、それが彼の足に当たった。
「お前こそ何するんだ! 骨折したらどうするんだよ」
「骨折? 紙で骨折なんかするわけないじゃない?」
これまでずっと抑えつけてきた感情が一気に爆発し、怒りに任せて則雄と同じテンションで怒鳴り返した。
すると、則雄はさらに怒りを増幅させ、これまでで一番の大声で怒鳴った。
「帰れ! さっさ消えろ!! 結婚は取りやめだっ!!!!」
その日は、泣きながら自分の家に帰った。しかし、1日経ち2日経ちすると、知恵には後悔の念が押し寄せてきた。やっとのことで結婚できる相手に出会い、新居まで購入したのだ。なんとか修復できないか。その後は何週間にもわたって、何度も何度も泣いて謝ったが、則雄は聞く耳を持たず、「結婚はできない。買ったマンションは俺が引き取る」の一点張りだった。