匿名さん
今月20日、神戸市水道局の職員が約3分間の中抜けをくり返したとして、減給処分になった。昼休みに行くと混むからという理由で、早めに仕事を切り上げて飲食店で弁当を注文していたという。
これだけ聞くとたいしたニュースには思えないが、これを受けて謝罪会見まで開かれる事態に発展。まるで重大な事故を起こしたような、深々と頭を下げる職員たちの姿になぜか海外メディアが衝撃を受けて、またたく間に海外へと拡散するに至った。
その報じたメディアも錚々たる並び。
「日本の労働者が昼休みを3分早く始めて罰せられる」との見出しが踊ったのは、イギリスの中道左派紙で硬派な報道でも知られる『ガーディアン』。
アメリカでは『CNN』が、ウェブサイトで「“サラリーマン”・カルチャー」を紹介。今回の謝罪会見の裏には、‘15年に起きた「大手広告会社での自殺」といった、より根深い問題があると分析している。
「行動経済成長の’70年代頃から“カロウシ”という表現が存在し、労働関係の運動家は’80年代から環境を変えようと動いてきた。(中略)労働者が安全に働けるよう定め、違反した企業に重い罰金を課すなど、より厳しい規制が必要だと多くの人が指摘している。しかし、安倍晋三首相の政権は、特定業種の労働時間を延ばそうという内容で賛否両論を呼んでいる、『高度プロフェッショナル制度』を可決させようと働きかけている」
また、「彼は昼休みの3分前に仕事を離れ、そして減給された」と報じたのは『ニューヨーク・タイムス』。こちらの記事は、日本国内でも「やりすぎだ」という声が挙がっていることや、『CNN』と同じく“カロウシ”という言葉や高プロ制度の仕組みを紹介している。
いずれの記事からも、「働きすぎの日本で起きた笑える出来事」というよりは、「深刻な過労問題の一部が噴出した」といったニュアンスが伝わってくる。
謝罪会見をキッカケに“カロウシ”や高度プロフェッショナル制度の問題点が指摘され、病める日本社会として世界の視線が向けられる……。単にSNSやネット掲示板でバズっているだけでなく、大手メディアが次々と労働問題と結びつけて取り上げる状況となっているのだ。
ほかに謝罪会見を開くべき人間は大勢いる
こうした海外への拡散で、大手メディアだけでなく、一般人からも謝罪会見への戸惑いが溢れている。
「ニュースを見たわ! OMG(オー・マイ・ゴッド)。マジでアナタたち、ちゃんとしたほうがいいわよ」
そう筆者にメールを送ってきたのは、イギリス人女性(33歳)。こちらが説明するまでもなく、すでに報道を目にしていた外国人は少なくなかった。
「最初はジョーク・サイトのニュースかと思った。ノルウェーには30分しかお昼休みはないけど、3分早いなんてとこまで気にしないわ。日本に比べてお店が少ないから、だいたい社内のカフェテリアですませるけど、ちょっと時間をすぎたり、早く職場を出ても怒られることなんてまずない。こんなことで謝罪会見を開くのは世界でも日本だけだと思う」(ノルウェー人・女性・33歳)
昨年11月にも、定刻より20秒早く列車が出発したことで首都圏新都市鉄道が謝罪したが、起きた出来事そのものよりも、やはり謝罪会見が行われるということのほうが衝撃的なようだ。
「日本人じゃないから言えた義理はないけど、ときどきクソみたいな国だと感じるよ。(こういった謝罪会見を報じる)どの記事にも自殺防止ラインの電話番号を載せたほうがいいんじゃない? とても変だけど、ある意味“日本的”な出来事だと思う。これだけ海外でも話題になって、働いている人間も、経営者側も、国全体にも世界レベルで恥を塗っているだろう? これで神戸のおじさんが、3分早く休みをとったってことは世界中に知れ渡ったけど、福島の原発が今どうなっているかは全然伝えられない。すごく偽善的だと思うよ。こんな会見は開くくせに、政治家や大企業の重役はやりたい放題じゃないか。いきなり世界中で“有名人”になって、おじさんも可哀想だよ」(アメリカ人・男性・37歳)
日本国内でも、ほかに透明にするべきこと、報道するべきことがあるのではないかという意見は多い。先述の高度プロフェッショナル制度など、働く人間にとって考えなければならない問題は山積みだが、国会ではろくに審議もされないまま強行採決されているのが現状だ。そういったなか、今回の中抜けが大々的に会見を開いてまで謝る内容だとはとても思えない。
これだけ聞くとたいしたニュースには思えないが、これを受けて謝罪会見まで開かれる事態に発展。まるで重大な事故を起こしたような、深々と頭を下げる職員たちの姿になぜか海外メディアが衝撃を受けて、またたく間に海外へと拡散するに至った。
その報じたメディアも錚々たる並び。
「日本の労働者が昼休みを3分早く始めて罰せられる」との見出しが踊ったのは、イギリスの中道左派紙で硬派な報道でも知られる『ガーディアン』。
アメリカでは『CNN』が、ウェブサイトで「“サラリーマン”・カルチャー」を紹介。今回の謝罪会見の裏には、‘15年に起きた「大手広告会社での自殺」といった、より根深い問題があると分析している。
「行動経済成長の’70年代頃から“カロウシ”という表現が存在し、労働関係の運動家は’80年代から環境を変えようと動いてきた。(中略)労働者が安全に働けるよう定め、違反した企業に重い罰金を課すなど、より厳しい規制が必要だと多くの人が指摘している。しかし、安倍晋三首相の政権は、特定業種の労働時間を延ばそうという内容で賛否両論を呼んでいる、『高度プロフェッショナル制度』を可決させようと働きかけている」
また、「彼は昼休みの3分前に仕事を離れ、そして減給された」と報じたのは『ニューヨーク・タイムス』。こちらの記事は、日本国内でも「やりすぎだ」という声が挙がっていることや、『CNN』と同じく“カロウシ”という言葉や高プロ制度の仕組みを紹介している。
いずれの記事からも、「働きすぎの日本で起きた笑える出来事」というよりは、「深刻な過労問題の一部が噴出した」といったニュアンスが伝わってくる。
謝罪会見をキッカケに“カロウシ”や高度プロフェッショナル制度の問題点が指摘され、病める日本社会として世界の視線が向けられる……。単にSNSやネット掲示板でバズっているだけでなく、大手メディアが次々と労働問題と結びつけて取り上げる状況となっているのだ。
ほかに謝罪会見を開くべき人間は大勢いる
こうした海外への拡散で、大手メディアだけでなく、一般人からも謝罪会見への戸惑いが溢れている。
「ニュースを見たわ! OMG(オー・マイ・ゴッド)。マジでアナタたち、ちゃんとしたほうがいいわよ」
そう筆者にメールを送ってきたのは、イギリス人女性(33歳)。こちらが説明するまでもなく、すでに報道を目にしていた外国人は少なくなかった。
「最初はジョーク・サイトのニュースかと思った。ノルウェーには30分しかお昼休みはないけど、3分早いなんてとこまで気にしないわ。日本に比べてお店が少ないから、だいたい社内のカフェテリアですませるけど、ちょっと時間をすぎたり、早く職場を出ても怒られることなんてまずない。こんなことで謝罪会見を開くのは世界でも日本だけだと思う」(ノルウェー人・女性・33歳)
昨年11月にも、定刻より20秒早く列車が出発したことで首都圏新都市鉄道が謝罪したが、起きた出来事そのものよりも、やはり謝罪会見が行われるということのほうが衝撃的なようだ。
「日本人じゃないから言えた義理はないけど、ときどきクソみたいな国だと感じるよ。(こういった謝罪会見を報じる)どの記事にも自殺防止ラインの電話番号を載せたほうがいいんじゃない? とても変だけど、ある意味“日本的”な出来事だと思う。これだけ海外でも話題になって、働いている人間も、経営者側も、国全体にも世界レベルで恥を塗っているだろう? これで神戸のおじさんが、3分早く休みをとったってことは世界中に知れ渡ったけど、福島の原発が今どうなっているかは全然伝えられない。すごく偽善的だと思うよ。こんな会見は開くくせに、政治家や大企業の重役はやりたい放題じゃないか。いきなり世界中で“有名人”になって、おじさんも可哀想だよ」(アメリカ人・男性・37歳)
日本国内でも、ほかに透明にするべきこと、報道するべきことがあるのではないかという意見は多い。先述の高度プロフェッショナル制度など、働く人間にとって考えなければならない問題は山積みだが、国会ではろくに審議もされないまま強行採決されているのが現状だ。そういったなか、今回の中抜けが大々的に会見を開いてまで謝る内容だとはとても思えない。