匿名さん
そもそも、「こんな人とは老後を過ごせない」と私からエア離婚を突きつけはしましたが、夫は気持ちの安定した、穏やかでとても優しい人です。出会って20年、私がどんなに辛辣に言いつのっても決して激昂しません。息子たちも「パパは一生懸命、僕たちの面倒をみて家のことをやってくれるよ」と言います。小島慶子〈エア離婚〉を選んで2年「夫婦リセットか、続行か。いま心は揺れて」|芸能|婦人公論.jp
家族が暮らすオーストラリアに帰ることができないまま10ヵ月。長男の卒業式に出られず、次男には身長を抜かれた。コロナで会えなくても、家族は成長する。ならば、「解散」を宣言した夫との関係はどうか──
とはいえ、彼はこれまでで最も私を苦しめた人でもあります。長男が生まれた直後、「妻が子どもにかかりきりで構ってくれない」と拗ねて、歓楽街で女性をモノのように消費。それが原因で私は健康を害し、さらに不安障害を発症し、不安定な精神を抱えたまま、仕事と子育てに身を削りました。
夫の懇願もあって離婚を思いとどまった私は、「彼があんなことをしたのも自分が悪かったから」と、ものの見方を無理やり歪めました。つらい記憶にフタをしたのですが、夫が仕事を辞め、私が大黒柱となって出稼ぎ生活を続けるなかで、精神的な限界に達したのです。
ここ数年、何度夫とこの話し合いをし、どれだけの参考資料を送ったことか。けれども彼の反応は通り一遍の「読みました」とか、「申し訳ありません」。謝罪のことばではなく、あなたの考えが聞きたいのだと言い続けました。
ところが半年近くが経ったとき、夫に変化が表れました。7月に、アメリカの女性議員オカシオ・コルテスが、彼女を議場で公然と侮辱した男性議員の「自分には妻や娘もいる。女性差別主義者ではない」という弁明に敢然と反論。「あなたがしたことは、自身の妻子を含むすべての女性への性差別を容認する行為だ」と理路整然と述べ、支持を集めました。
そのスピーチの動画を夫に送ったら、初めて真っ当な返事が来たのです。「自分は無知だった。自分の行為を正当化して、女性差別に加担していたことが、よくわかった。息子たちにも話す」と。
もちろん、これで一気に「じゃあエア離婚も解消ね」とまではなりません(笑)。ただ、変わっていく彼となら生きられるかもと思ったのは事実です。(一部抜粋)