匿名さん
「なんて名前だっけ?」と皆が聞く。「名前のスペルを教えろよ」。面と向かってバカにされることもあった。「自分の名前がどんな風だか、わかっているよね? 本当に親がつけた名前?」「ビッチ」とからかわれ…アメリカに住むアジア系の私が名前を変えたワケ(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース
アジア人の名前は外国人にはわかりにくい。名前を間違われたり、何度も聞き返されたりした経験がある人も多いだろう。ベトナムから難民としてアメリカに渡った女性作家は、Bich(ビックと発音する)という名前
親が改名を許し、「アメリカ的な」名前をつけてもらえたアジア系の子たちが羨ましかった。でも、私の両親は改名をよしとしなかった。自分の名前を誇りに思え、親のせいにするなと言われた。両親があまりに怒るので、私はひとりで思い悩むしかなかった。
「Bich」には、翡翠という意味がある。後になって、ベトナムでは少女のうちに翡翠のブレスレットをはめ、ブレスレットを一生涯身につける風習があると知った。翡翠には護身、癒しの意味があり、緑色が濃いほど価値がある。
アメリカで生活していなければ、私に与えられた名前は、その名のとおり、美しかっただろう。だが、実際のところ、私がブレスレットをはめることはなかった。
実際のところ、Bichの名が好きだと言ったり、改名しようとしたときに怒ったりして反対した人の多くが白人女性だった。彼女たちは、すてきな名前だとか、興味深い、独創的、あなたに合っているとか、民族の大切な風習の一部だと言った。あなたの名前が好きだから、改名したら心が痛むとも言われた。だが、その名前が欲しいと言われたことはない。
私にはBichの名を子供時代の記憶と切り離すことができない。皆に笑われた経験、ビッチ呼ばわりされ、ジョークの落ちにされたこと。私は、それをバカみたいに受け入れるしかなかった。怖くて何もできなかった。
いまのところ、私はベスと名乗っている。ベスは、ニュートラルで、目立たないところがいい。名前が変わっても、私の過去や、私の家族や、アメリカで難民として生きる私たちの生活は変わらない。
(一部抜粋)