匿名さん
まず、子どもを大学に通わせる場合のコストが高い。日本学生支援機構の「学生生活調査」(平成28年度)によれば、授業料のほかに、学習費、生活費、交通費など含めた費用の合計は、平均で年間188万円に上る。最も費用が高いのは、「私立大学4年制・自宅外通学」の場合で、年間約250万円だ。この金額を世帯年収600万円から引くと、残りは350万円~412万円程度。これが、生活保護基準とほぼ同等なのである。年収600万円家族、子の大学進学で「隠れた貧困」に?コロナ禍で深まる苦境【#令和サバイブ】(今野晴貴) - 個人 - Yahoo!ニュース
子どもを大学に通わせると、生活保護レベルの生活水準に陥る「隠れた貧困」が広がっている。頼みの学生バイトもコロナ禍で苦境にあり、退学の危機も広がる。賃金引き上げと教育費無償化が求められている。
このように、年収600万円の4人家族で、一人が大学生になると、残りの三人の生活費は生活保護基準にまで落ち込んでしまうのだ。生保基準は近年引き下げられていることもあり、食費や光熱費などを切り詰めて節約しなければならず、貯金などはかなり難しい生活水準である。
現在、大学生・短大生の37.5%が奨学金を借りており、平均借入額は324.3万円に上る。平均月額返済額は16800円だが、非正規雇用で低賃金であったり、「ブラック企業」の過労が原因で働けなくなったりなどして、たちまち返済が滞ってしまうケースは少なくない。そして、奨学金を延滞すると、厳しいペナルティと過酷な取り立てが待っている。
結局、年収600万円程度の「普通」の世帯の若者は奨学金を借りることをあきらめて、ますますアルバイトを増やす方向で進学を目指すようになっているとみられる。
ところがコロナ禍で、頼みの綱である学生アルバイトも減収を強いられており、さらに厳しい状況に陥っている。今年3月に文科省が行った全国調査によれば、今年1~2月の緊急事態宣言発令中と、昨年10~12月(宣言未発令時)を比較して減収した学生が49.7%と約半数に上っている。
高等教育が先進国でますます一般化していく中で、希望する誰もがアクセスできるようにするために、学費の減免や給付型奨学金制度を拡大し、高等教育費用の公的負担を増やしていくべきだろう。それは、「隠れた貧困」を減少させることにも直結しているのだ。