匿名さん
富さんが老人ホームに入ったのは80歳の時のこと。施設の一時金は400万円で、月額料金は30万円。一時金が抑えられているかわりに月額料金が高めに設定されている、高級な部類の老人ホームでした。「こんなに生きるとは」高級老人ホームを追われ生活保護を受けた90歳女性の"後悔" 貯金は十分にあったけれど…
老後の資金は“何歳まで生きるつもり”で用意すればいいのか。ファイナンシャルプランナーの高山一恵さんは「私がキャッシュフロー表を作成するときには、寿命は90歳としています。でも、リアルに受け止めない方が多いんです」という――。
富さんのお金は、毎月の年金7万円と2500万円の貯金。当然、年金だけでは老人ホームの月額料金をまかなえないので、残りの23万円を貯金から切り崩して支払っていくことを決め、施設側の審査も無事に通って入居となりました。
しかしその10年後、富さんが90歳の段階で貯金が底をついてしまったのです。
なぜこんなことが起きたのか? そう、答えは「寿命」です。
妹の喜久子さんも富さん自身も、「人生は85歳くらいまでだろう」と予想していました。そして最期くらいはゆったりと気に入った空間で過ごしたい、過ごさせてあげたいという気持ちから、姉妹で話し合い、少し値の張るこの老人ホームへの入居を決めたのです。
この問題、結論から先にお話しすると、富さんは生活保護を申請し、前よりもだいぶグレードの落ちる、月10万円(居住費のほか、食費、日常生活費など込み)の老人ホームへ移ることになりました。
老人ホームの方にお話を聞くと、富さんのように自分や家族が予想外に長生きするケースは非常に多く、途中で資金がショートすることもまま起こるそう。その時皆さん口にされるのが、「こんなに生きるとは思わなかった」。