匿名さん
親しい友人は全員私立中学進学を目指し、小学5年生後半から塾通いが激しくなっていく。自然、B君が友人と過ごす時間も減り、そのまま自分は地元の公立中学に進学する。そのなかに、彼が小学校時代、親しくしていた友人はほとんどいなかった。公立の中学では本当の自分が出せない…東京西部の高級住宅街に住むB君が不登校になった意外な原因 両親は「自分たちが公立だから中学受験は考えなかった」
子供の不登校はどうすれば解決するのか。東京西部の高級住宅街に住むB君は、公立中学校に進学したが、親しい友人たちが私立中学に進んだことから、孤立を深めて不登校に陥った。母親から進路相談を受けた塾講師の河本敏浩さんは、どんなアドバイスをしたのか。河本さんの著書『我が子の気持ちがわからない 中流・富裕家庭の歪んだ親子関係を修復に導く17のケーススタディ』(鉄人社)より、一部を紹介しよう――。(第2回)
彼らは全員が私立中学に進んでいたのだ。新たに中学の同級生のなかから親しくなれる友人が現れる可能性もあるが、内向的で読書好きなB君と話が合うような同級生は、恐らく私立を選択している。
さらに言えば、自分の性格や嗜好が知性を帯びていることが、クラスメートの嫉妬の対象になる可能性にも思い至った。
音楽室で教師に乞われてピアノを弾いた際はクラスメートの称賛を浴びたが、同時に同性の同級生の陰口も耳にした。いじめられたり、いじられたりするようなことはなかったものの、以降、B君は学校でピアノを弾くことはなくなった。
中学1年生の末、彼にとって学校は友情や信頼を交換する場ではすでになくなっていた。素の自分をさらけ出せる友達という存在が皆無だったのだ