匿名さん
フランスにある「アルツハイマー村」見学してわかった、日本と大きく異なる「あえて介護しない」しくみ〈dot.〉
認知症の人が敷地内で自由に行きたいところに行き、暮らしたいように暮らすことができる――。2020年、フランスにそんな施設「ランド・アルツハイマー村」が開...
村の中では、誰もが自由に行きたい場所に行き、過ごしたいように過ごす。一般的にいう「徘徊」も、ここでは「散歩」だ。
「日本ではすぐスタッフが出てきて『戻りましょう』と連れて行くなどしますが、ここではそういうことはありません。みんなが自由に歩き回っていて、危険がない限りは誰も止めません。本当に迷っている様子がみられたときは、さりげなくスタッフがそばに行き、一緒に散歩をしながら帰ります。車イスの人でも家の中で寝たきりということはなく、多くの人が外に出て歩き回ったり、ベンチに座っておしゃべりしたり。男性は若い女性のスタッフと楽しそうに話している姿も見かけましたね」(同)
安全管理も徹底されており、敷地内に自転車や車は入れない、死角をつくらないなど、危険は排除されている。一方で、村の中には適度な坂道もある。これは、足腰の衰えを防ぐため、あえて勾配をつけているのだという。
スーパーには日々の生活に必要な日用品や食料品が置かれており、入居者は買い物もできる。金銭を支払わなくても、後日、利用料に加算して支払うので持ち去っても問題ない。
特徴的な設備もある。電車のように座席が配置された箱形の部屋があり、そこは認知症の人が「家に帰りたい」と言ったときに、精神科の医師に相談した上で入るところだという。スタッフと一緒にシートに座ると、車窓に流れる景色の映像がDVDで映し出される。しばらくそれを見るうちに気分が落ち着き、「帰りたい」という気持ちを忘れるのだとか。
「ホグウェイでは多くの人が最後まで元気に歩き回っていて、亡くなる3日ぐらい前になると外に出られなくなり、やがて水分が取れなくなり、静かに亡くなるのだそうです。認知症の人でも、そのほとんどがピンピンコロリで亡くなるとは驚きでした」