匿名さん
《池袋暴走事故》「毎日、亡くなった方々のご冥福を祈っています」車いすで面会、額には大きなアザが…飯塚幸三受刑者が語った“獄中生活” | 文春オンライン
家族が事件や事故に「巻き込まれる」ことをイメージする人はいるが、「加害者」になることまで想像する人は少ないであろう。しかし、あなたの大切な家族が他人の命を奪ってしまい、ある日突然、加害者家族になること…
■拘置所側も先例がない高齢者90歳の収監
車椅子がなければ歩けない状態になった幸三は、拘置所内でトイレに行こうとした際、転倒してしまい頭に怪我をしてしまったのだ。トイレは血だらけになり、拘置所内の規則として「始末書」を書かなければならなかったのだという。
拘置所側も先例がなく、対応に窮したようだった。壁に緩衝材として発泡スチロールを張り、転倒で怪我をしないよう応急措置を施した。
刑事施設にはてすりがない。杖も武器になるので使えないため、歩くことが困難な幸三にとっては、トイレに行くことが過酷な試練となっていた。終いには、おむつで対応しなければならなかった。
房の中には椅子がなく、壁に寄りかかっていなければならない。就寝時間以外に横になってはならず、まるで拷問である。
90歳(取材当時)の足の不自由な老人にはあまりに過酷な状況に、家族は打ちのめされていた。
■過酷な受刑生活
「上級国民は刑務所の待遇も違うんじゃないか」
収監されてからも、特別待遇の有無について、世間からの執拗な追及は続いていた。
拘置所への収監から約2週間後、幸三は地方のある刑務所に移送されていた。やはり医療刑務所ではなく一般の刑務所だった。
刑務官に車椅子を押されて面会室に入ってきた幸三は、拘置所の頃よりは幾分か、顔色がいいように感じられた。
「毎日、日が昇るたびに、亡くなった方々のご冥福を祈っています」
自宅にいる時と変わらず、はじめに遺族と被害者への謝意を述べた。
幸三は禁固刑なので作業はなく、読書をしたりしている様子だった。
拘置所同様、トイレに行く際は転倒しないよう神経を使っているようだった。介護施設であれば、何かあればナースコールで職員を呼ぶことができるが、もしここで転倒してしまうと、刑務官が見回りに来るまで助けてもらうことができない。幸三にとっては、1日1日が緊張の連続だった。
過酷な受刑生活を送る幸三を支えているのは、友人からの励ましと、帰りを待つ家族の存在である。
ひとり、刑務所にいる夫を待つ妻もまた、つらい日々を過ごしている。