匿名さん
意外に知られていないが、全世代で最も貧困率が高いのは65歳以上の高齢単身女性である。単身女性の貧困率はコロナ禍以前から高く、20〜64歳で4人に1人が貧困、65歳以上では2人に1人が貧困という状態にまで跳ね上がる。年金だけでは生活できず、働かざるをえない人も少なくない。子がいない「中高年単身女性」の知られざる貧困
「店も厳しいから、少し休んでもらえないか?」2020年3月、Aさん(69歳)が7年近く勤めてきたレストランはコロナ禍にあえいでいた。勤務日数は3分の1に減らされ、月13万円ほどあった収入は3万円に。休業補償は受け…
(中略)
男女の賃金格差に加え、女性は結婚して専業主婦となり正社員の夫に扶養されるという、「標準世帯モデル」を基に設計された税や年金制度による不利益もある。現役時代の格差や標準世帯モデルから外れたことによる“不利”を老後も背負い続けなければならない。
この状態が続けば、将来さらなる困難が女性たちを襲うことになる。現在40代〜50代前半になっている就職氷河期世代は非正規雇用率および未婚率が高い世代だ。就職氷河期世代が老後を迎える頃、未婚または配偶者と離別した女性の約半数(290万人)が生活保護レベル以下の生活を余儀なくされるというデータもある。
政府は「女性活躍」や「ジェンダー平等」を政策目標として掲げているが、少子化対策と関連した施策が多く、その中心は若年層や子育て世代である。一方で貧困にあえぐ中高年単身女性は存在しないかのごとく扱われていると感じる。そうした時代の空気によって、当事者の女性たちが「声を上げづらい」状況がつくり出されているのではないだろうか。