匿名さん
今こそ配偶者控除を廃止し「共働き控除」を…"専業主婦付き男性"を厚遇する国のやり方では子供は全然増えない 「異次元」とは笑止…対症療法ではなく古い社会制度をリストラせよ
岸田文雄首相が表明した「異次元の少子化対策」は功を奏するのか。昭和女子大学特命教授の八代尚宏さんは「児童手当の拡大など『異次元』の名称とはほど遠い内容で、政府として何か努力をしているというジェスチャーを示す安倍政権以来の常套手段と言わざるをえない。対症療法ではなく古い社会制度・慣行をリストラすべきだ」という――。
夫婦が共に働くことは、過去の自営業主体の社会では普遍的な姿であった。それが戦後の高い経済成長という夢のような時代であったからこそ、並みのサラリーマンでも専業主婦を養えたといえる。今後の低成長時代では、夫婦が共に働き、共に子育てをすることが標準的な家族となり、専業主婦を養えるのは、一部のエリート・サラリーマンの勲章となろう。
世帯主だけが妻子を養うことを前提とした、過去の無理な働き方の弊害の一つが、女性の子育てと就業との矛盾という形で表れている。現行の日本的雇用慣行のままでの小手先の対策では対応できない。
■共働き家族に対応しない税・社会保険制度
これには、とくに若年層で多い共働き家族に対応した社会制度の改革が、いぜん専業主婦が中心の中高年齢層にとって不利になるとの世代間の利害対立が大きいという面もある。
しかし、専業主婦を優遇する制度は、一定以上の所得を稼ぐとその恩恵がなくなることで、女性の就業を抑制することにもなる。今後の労働力が不足する社会で、この「女性が働くと損をする」仕組みを、政府自体が維持していることの矛盾を、速やかに撤廃する必要がある。
今後の家族政策では、配偶者控除を子ども控除に振り替えるとともに、共働き家族の家事外注コストの高さに配慮した「共働き控除」を設けることで、働く女性に有利な税制改革も検討するべきだ。