匿名さん
和久田氏によると、欧米で成功しているいじめ予防プログラムの8割は「傍観者教育」だという。海外に比べ「いじめ」が増える日本、決定的に欠けている「エビデンス」の視点 | 東洋経済education×ICT
文部科学省の「令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果」(以下、文科省調査)によると、小・中・高等学校および特別支援学校におけるいじめの認知件数は61万5351件(前年度51万7163件)と過去最多を記録。いじめを苦にした自殺など重大事態も後を絶たないが、いじめに対して学校はどう対応すべきか、未然に防ぐことはできるのか。子どもの発達科学研究所所長の和久田学氏に、科学的根拠に基づくいじめ予防のアプローチについて話を聞いた。
「複数の研究で、いじめには約8割の傍観者がいることがわかっています。例えば1990年代のカナダの研究では、いじめ事案の85%に傍観者が存在していました。また、そのうち74%は加害者側に、23%は被害者側についていましたが、実は傍観者の約80%がいじめを嫌だと感じていた。さらに、13%の傍観者がいじめを止めようとしたところ、57%のいじめが数秒以内に止まったといいます。また、教員がいじめの現場にいたケースは13%と、いじめを教員が見つけるのは難しいことも明らかになっています。いじめを見つける努力をするよりも、日頃からいじめに関する正しい知識や行動を教えるほうが、子どもが傷つく機会をはるかに減らせるということです」
また、いじめは被害者だけでなく加害者や傍観者にも大きな影響があることが、さまざまな研究結果から明らかになっている。
■「学校風土といじめを可視化する調査」で見えてきたこと
「これまでのわれわれの研究では、『この学校の先生は、いじめなどをしっかり注意してくれる』『この学校の決まりは、誰に対しても公平だ』といった安全性の項目や、『この学校では、男女とも、同じように大事にされている』といった関係性の項目と、いじめの出現率との関連がわかっています。年々データが増えているので分析をバージョンアップし、さらに学校が活用しやすい形にしたいと考えています」…