匿名さん
※以下抜粋これは捨てがたい効用だ…五木寛之さんが「日本人はこれからもマスクを外さない」と考える理由 パンツを脱ぐような気分をあじわうのではあるまいか
あなたは最近、外出時にマスクを着用しているだろうか。作家の五木寛之さんは、「コロナが去ったら人はマスクを外すのだろうか。そうとも思えない。数年にわたるマスク生活に慣れた人間は、マスクを外すとき、パンツを脱ぐような気分をあじわうのではあるまいか」という――。
数年にわたるマスク生活に慣れた人間は、マスクを外すとき、パンツを脱ぐような気分をあじわうのではあるまいか。
〈マスクは顔の下着です〉
と、戦時中なら大政翼賛会のスローガンになっただろう。個人の自由を頑固に主張する外国とちがって、国民が一致団結して生きる列島なのである。
マスクには、また別な効用もある。実際にはどうかわからないけれども、ある種の匿名性があるところが有難い。
大きなマスクをして、顔半分を隠していると、一見、年齢不詳の感じがする。職業、年齢、階級などに関係なく、ある種の市民としての画一性がたもたれるような錯覚があるのだ。実際にはマスクをしていても、完全に無名性が保証されるわけではない。人は雰囲気で相手を識別できるものだからである。
しかし、それが錯覚であったとしても、マスクをすることで別な自分になったような感覚は、捨てがたい効用ではあるまいか。