匿名さん
■男社会の身勝手な正論とマッチョ女史の善意の加害働け、産め、育てろに加えて「キャリアのために早く産め」成功した女性識者の助言が"普通の女性"を苦しめる 若い女性の早婚・早出産の意欲は強いが、なぜそれが叶わないのか
働け、産め、育てろ、キャリアのためには早く産んだほうがいい……。女性への圧力は日増しに強くなっている。雇用ジャーナリストの海老原嗣生さんは「若い女性の早婚・早出産の願望はもともと強い。でもなぜそれが叶わないのか。焚きつける、急かす、追い込む……そんなことでは解決できない本当の理由に迫るべき時だ」という――。
とかく、政治家やマスコミなど「男社会の代表」たる論者は、女性の痛みをわからず、勝手な正論を謳い、理解なき支援を施すものです。「働く女性の支援」と銘打って、女性が働きながら育児や家事ができる環境を整える。つまりそれは女性に「働き、産み、育てる」ことを強要することに他なりません。
一方で、同性(女性)の識者は、進歩的な論調の中で、善意の加害者になってしまうことが、どの時代にもよく見られます。
■同性からの「私はそれができたんだから」に戸惑い
こうした女性識者からの発信は多くの場合、「私はそれができた」という彼女ら自身の体験で実証されていることが多い。加えて、その提言内容は、現状の社会システムにおいては、かなり利得の多い方策でもある。
■優秀な同性が振りかざす成功則がしんどい
彼女らの提言には、一つの傾向があります。それは、「時代環境の中で、最善の生き方をしたいのであれば、こうすべき」という教条的かつ現実的な論調です。むやみに理想論を追いかけ、現実社会と敵対していては、ますます女性はつらい立場に追いやられてしまうのは確かです。「だから今の社会では、こうすべき」という一種の成功則が、同性の優秀な成功者から振りかざされると、多くの一般女性はそれにうなずかざるを得なくもなります。そして、その通りに生きようと堅苦しい思いをしたり、そうなれない自分を責めることにもなる。
つまり、「良かれと思って差し伸べた手」が、ありがた迷惑になっている。
ましてや、現在では社会の変化は速く激しくなっています。「こうしたら上手く行った」というノウハウが、5年やそこらで通用しなくなることも少なくありません。
だからこそ、時代と社会を限定した中で成り立つ勝ち組女性の成功則よりも、「女性の痛み」を起点に論を進めるべきと、私は考えています。