匿名さん
樺沢:私が身体の大切さに気づいたのは、病院勤務をしているときにいろいろな患者さんを診てきた経験からですね。実際のところ、精神科に来る方が完治することって、なかなかないんです。もちろん、お薬を出して改善する方もいますが、なかなか治らない。あと、たとえば「嫌なことは考えないようにしましょう」なんてアドバイスをしても、それができないからみんな困っているわけですよね。精神科医と禅僧が勧める「メンタルの強い子」が育つ生活習慣(樺沢 紫苑)
それで私は、どうしたらいいのかと患者さんたちを観察して、気づいたことがあります。運動を始めたり、朝早く起きられたりするようになると、とたんに症状が軽くなるんです。
それでたどりついたのが「睡眠」「運動」「朝散歩」です。「朝散歩」とは要するに「規則正しい生活」です。メンタル疾患の方は、食事や睡眠の時間などがめちゃくちゃになっていることが多い。だから、朝決まった時間に起きて、日光を浴びて、朝食を食べる。これをやるだけでメンタルの問題が解消されることは多いんです。
(中略)
樺沢:あともうひとつ、ぜひ子どもたちに身につけてほしいのがレジリエンスですね。レジリエンス(心のしなやかさ)というのは、ようするに「転んだときに起き上がる力」です。これはもう、転んで起き上がるという経験を繰り返すことでしか身につきません。私はよく「失敗とはしかは小さいときにしろ」といいます。はしかは大人になって初めてかかると重症化しやすくなります。それと同じで、失敗も小さいころからたくさんしていると、失敗が怖くなくなるんです。
レジリエンスを鍛える上でいちばんいいと思うのは「失恋」ですね。私なんかは、恋愛に関する相談が来たら「告れ(告白しろ)」といいます。だって、もし告白して相手がOKしてくれたら万々歳だし、振られたらダメージを負うかもしれないけれど、メンタルを鍛えるチャンスになるわけですから。