匿名さん
■日本人は「不妊治療の開始が遅い」?日本は「妊娠できない不妊治療の数」が世界トップクラス…! その「意外な理由」と「良い治療を受けるために必要なこと」(浅田 義正,河合 蘭)
日本は不妊治療の件数がとても多い「不妊治療大国」だと前回の記事でお伝えしましたが、さらに衝撃的な事実が明らかになっています。日本は「妊娠に至らない不妊治療」の件数が世界トップクラスだというのです。一体なぜなのでしょうか? 先日発売となったロングセラーの改訂版『不妊治療を考えたら読む本〈最新版〉 科学でわかる「妊娠への近道」』(講談社ブルーバックス)より、その一部を紹介しましょう。
そして、今の日本の患者さんは、必ずしもみんなが効率重視という考え方をしていないようです。日本の文化には「できるだけ自然にしているのがよい」という無為自然を尊ぶ考え方がありますが、そのためか、まず治療の開始年齢が遅いという傾向があります。
なかなか妊娠しなくても「そのうち、妊娠するでしょう」と思い、年齢がかなり高くなるまで医療施設での不妊治療を考えないのです。このことは、日本で今よく売れている不妊の本のほとんどが、食事の改善や「冷え」予防など自然療法の本であることを見れば一目瞭然です。
また、医療施設での不妊治療を始めた場合も、「薬の使用はできるだけ控えたい」と望む人が多いのも特徴です。こうした自然志向の結果、自然療法や薬を控えた治療に時間をかけすぎて、いざ本格的な不妊治療に切り替えることにしたときには、妊娠できる卵子がすでに少なすぎる人が目立ちます。そして、治療を始めてもなかなか妊娠に至らないのはつらいことですから、次第に心も身体も疲れ切ってしまいます。
筆者の浅田は、不妊治療に関する国際学会へよく行きますが、日本の技術レベルが低いとは思いません。浅田が若かった頃は欧米の技術を「すごい」と思って見ていましたが、近年は、日本のトップレベルの施設で行われている治療は、むしろ欧米より技術的に高いのではないかと思います。
それなら、なぜ日本の成績はこんなに低いのでしょうか? それは、やはり治療開始年齢の高さと先ほど述べた自然志向によって、高い技術が効率良く使われていないからです。