匿名さん
まとめると、4月~9月の半年間は、客単価が上がっているのに、客数(買い上げ客数)が減ったために、前年売上高実績に届かなかったということです。これはなかなか危険な兆候です。それだけ既存顧客が離れているということにほかならないからです。なぜ「ワークマン離れ」が起きているのか…快進撃を支えてきた「カジュアル路線」に潜む意外なリスク 今年度の既存店客数は前年割れが続く
作業服チェーン「ワークマン」の勢いに陰りがみえつつある。売上高や客単価は上昇を続けているが、今年4月から10月までの既存店客数では、猛暑だった7月を除いて前年割れとなっている。ライターの南充浩さんは「原因のひとつは『職人客離れ』だろう」という――。
もちろん、ワークマンの現在の勢いはすばらしく、巨大なベイシアグループの一員ですから、経営危機の心配はありません。冒頭に述べたように足元に陰りが見え始めたという程度にすぎません。
なぜワークマンから既存顧客が離れつつあるのか。考えられる原因のひとつは「職人客離れ」です。
ワークマンの元々の店舗は幹線道路沿いや郊外に立地し、個人経営の小規模なフランチャイズがほとんどでした。そこに買いに来る職人客も店舗ごとにほぼ決まっており、着古しては定期的に買いなおすという購買行動だったと考えられます。
しかし、近年のカジュアル用途でのワークマン人気の盛り上がりによって各店舗にカジュアル客が押し寄せ、店内が混雑していたり、駐車場に車が止められなかったりということが増えました。また、カジュアル需要の急増によって品切れ・品薄状態も増えました。こうしたことが不満となって職人客離れが起きつつあるようです。
ワークマンのカジュアル需要が増えれば増えるほど、作業服店とカジュアル店で同一の商品を売るという戦略は難しくなるでしょう。なぜならカジュアル客と作業服客では購買意欲も購買のサイクルも全く異なるからです。
かつてはワークマンのコンセプトに賛同する少数の客だけで商売が成り立ちましたが、規模が大きくなるにつれてコンセプトを理解しない客も増えます。そうなると結果的に従来客からも新規カジュアル客からも不満を持たれてしまうでしょうから、カジュアル専用品番を増やさざるを得なくなります。ワークマンが当初の目的通りにカジュアルと作業服を両立できるかどうかはこれからが正念場ということになるでしょう。