匿名さん
──整形は美を追求するための努力であり、コンプレックスを解消する手段でもある。そうしたポジティブな側面がクローズアップされる一方で、ルッキズムを助長するといった負の側面も語られます。先生はどう捉えていますか?美容整形の低年齢化、問われる美容医療の“質” 現役医師が抱く危機感「法整備が必要な局面に来ている」
今も昔もコンプレックスを解消する手段として受容されてきた美容整形だが、市場の伸長を後押ししているとされるのが低年齢化だ。昨今はSNSを中心に整形がオープンに語られ、悩める若者を救済する手段として容認されるようになった。一方で心も体も成長段階にある若年層にとって、整形の一般化は自分自身の顔を否定し、ルッキズムを助長させる一因にも。クリニックに訪れるユーザーのマインド変化について、共立美容外科の医師・磯野智崇さんに見解を聞いた。
磯野智崇さん これはとても難しい問題で、美容医療業界がルッキズムを助長させているのか、ルッキズムが加速しているから美容医療市場が伸びているのか──。どちらが先なのかは私も測り兼ねるところです。ただ1つ、昔のほうが“まとも”だったと思えるのは医師の“質”です。ひと昔前は外科や皮膚科、麻酔科などで5年以上の経験を積んでから、美容外科に携わる医師がほとんどでした。ところが近年は、医大を卒業したばかりの医師を、膨大な年棒でかき集めているクリニックも増えています。
──美容整形ユーザーが増えるにつれ、医師の数も必要になっているということですか?
磯野智崇さん そうですね。ただ、そうしたクリニックほど集客に熱心です。強引な勧誘もそうですし、広告も低年齢化やルッキズムを煽っているところが見受けられるのが正直な実感です。レベルの低いクリニックが台頭すれば、“まとも”な美容医療を提供しているクリニックは生き残れません。法整備など何かしら歯止めが必要なのではないかという局面に来ているのではないかと感じています。