匿名さん
実際に介護の仕事をしてみて思ったことは、「虐待は絶対にやっちゃいけないけど、正直気持ちはめちゃくちゃわかる」だ。「虐待は絶対にやっちゃいけないけど…」現役介護施設職員が明かす、利用者の“恐るべき行動”と介護する側の“本音” | 文春オンライン
日本の高齢化率(日本の総人口に占める高齢者の割合)は28.8%。誰もが介護と無縁ではいられない社会になっているといっても過言ではない。もしも、家族に介護が必要となったとき、あなたならどうするか……。こ…
入職して間もなく、キヨエさんに口の中のごはんを顔へ吹き付けられたとき。あのとき私は、喉詰めをしないよう慎重に食事介助を進めていただけでなく、食べる物の順番や、お茶と汁物を飲んでもらうタイミングはこれでいいだろうか? おいしくごはんを食べられているだろうか? ということで頭をいっぱいにしながら介助にあたっていた。
もちろんそれが介護士の仕事なのだが、そこへあの毒霧攻撃を食らえば、「ふざけんなよクソババア」と、後頭部を渾身の力で引っぱたきたくもなった。
他の利用者に対しても、介助中に叩かれたり引っ掻かれたり暴言を吐かれたりすると、確かにイラッとしている自分がいる。
(中略)
その他にも、薬を飲むのが苦手な利用者が薬を床にペッと吐き出して、「苦いんだよ、このバカ女」と言ってきたとき。
歩行が不安定な利用者に付き添っていて、手が離せないときに、「おい、茶ァ淹れろよ! いつまでやってんだよ、このノロマ!」と他の利用者に言われたとき。
熱中症が怖い時期に、冷房嫌いの利用者から、「冷房切れよ! グズグズするな! キビキビ動かないと殴るぞ!」と怒鳴られたとき。
……思い出すとキリがないが、「人の気も知らないでぇぇぇぇぇえッッ!!」と、業務中利用者にパイルドライバーをキメたくなった瞬間は、これまで何度もあった。
同じような場面に出くわしても、「利用者さんにイライラしたことは一度もないかな?」と話す先輩職員を見て、「私は介護士失格だ」「やっぱり向いてないんだ」と落ち込むこともあったが、幸いにも私は今まで利用者を怒鳴りつけたこともなければ、パイルドライバーもジャーマンスープレックスも掌底もキメていない。
その代わり、心の中ではもう言いたい放題&やりたい放題だ。
最近は、それでいいんじゃないかと思っている。
当たり前だが、介護士も人間である。
乱暴な言葉遣いをされたり、暴力を振るわれれば、怒りや悲しみの感情が刺激される。それがたとえ、認知症ゆえのものだったとしても、瞬間的にはカッとなってしまうこともあると思う。
どんなケースでもそうだが、“刺激された感情”を否定し、無視し、あるいは抑え続け ていると、いつか爆発するときが来る。そうならないためには、まず自分の感情と向き合い、肯定してみることも大事だと思う。攻撃されてムカつくのは当然だし、それは何より心が生きている証拠だ。何も恥じることではない。
心の中でだったら、いくらでも悪態をついていい。聞くに堪えない言葉で言い返しても、ジャイアントスイングをキメても、なんなら場外乱闘に持ち込んだっていい。
大事なのは、それを実際に行動に移してしまわないことだ。そのためだったら、心の中でどんなことをしたって構わない。