匿名さん
「生活排水が流れてきている。カネを持ってこい」-。千葉県館山市で隣人男性のB氏【衝撃事件の核心】「みんなに迷惑かけないよう殺した」20年超続いたご近所トラブルの末の惨劇 1千人が減刑嘆願した理由とは…
「生活排水が流れてきている。カネを持ってこい」-。千葉県館山市で隣人男性のB氏=当時(73)=を殺害したとして、殺人罪に問われた男A(76)の公判で、B氏が執拗…
=当時(73)=を殺害したとして、殺人罪に問われた男A(76)の公判で、B氏が
執拗(しつよう)なクレームや嫌がらせをAに20年以上続けていたことや、ほかにも
近所で多くのトラブルを起こしていたことが明かされた。殺害の際の心境を問われたAは
「これ以上、住民にBが迷惑をかけないようにと考えた」。罪の軽減を求め、1千人以上が
署名した嘆願書も提出される異例の展開となった法廷で、言い渡された判決は…。
(千葉総局 中辻健太郎)
■鎌がついた長い棒
千葉地裁での裁判員裁判によると、事件は昨年11月、人口約150人ほどの小さな集落で起きた。
被告のAと被害者のB氏は約40年来の隣人同士で、約20年前にB氏がAに、「生活排水が
自宅に流れ込んできている」とクレームを付け始めたという。
法廷でAやAの妻が語ったところによると、B氏は毎日のように、「40年分の迷惑料を払え」
「土地を売ってでもカネを払え。払えないなら俺の面倒を見ろ」などと押しかけてきた。
先端に鎌がついた長い棒を手に持っていることが多く、脅迫じみた言動を振るうことも少なくなかった。
かといって、施錠したり、カーテンを閉めたりしていると、「田舎のくせに鍵なんかかけやがって」
などと怒鳴り散らした。電話も多くかかってきたという。
Aの弁護人は、生活排水は、B氏が敷地内の排水路を埋めて水の流れが変わったことが原因で
流れるなどしたもので、Aが非難されるいわれはなかったと公判で指摘した。
■積年の怒りが爆発
事件が起きたのは、27年11月6日午後。その日もB氏はAの自宅を訪れ、妻に、
「排水の話があるから旦那を呼べ」と鎌を手に怒鳴りつけた。
外出中だったAが帰宅すると、B氏はAを連れて自宅へ向かい、生活排水のクレームを
言い続けた。Aは「いい加減にしろ」「おとなしくしてればつけあがりやがって」と
積年の怒りが爆発。するとB氏が「俺の言うことが聞けねえのか」と襟首をつかみ、
口論がヒートアップした。
そして、B氏の「200万か300万円持ってこい」の一言に、Aはとうとう、
「結局カネの話しかと思い、カッとなった」。B氏を足払いしたところ、Aもバランスを崩れ
共倒れに。AはしがみつくB氏の腕を払うように、頭部を蹴りつけて立ち上がり、B氏の
顔面をさらに2回蹴りつけたところ、動かなくなったという。
このとき、Aの脳裏を、これまでクレームに悩まされ続けた近所住民らの姿がよぎったという。
「これ以上、周りのみんなに迷惑をかけないようにさせたい」
AはそのままB氏を引きずって、敷地内にある池に落とし、右手や足で頭を押さえつけた。最初はあぶくが上がっていたが徐々に少なくなり、動かなくなったのを見て、「死んだと思った」という。弁護人によると、この池は、B氏が排水路を埋めたことによって水の逃げ場がなくなり、できたものだった。
Aはその後、自殺しようと思い、車に乗って海岸や線路へ死に場所を探しに行ったという。だが、「孫の顔が頭に浮かび自殺できなかった」と帰宅。翌日、親戚(しんせき)に電話して殺害を告白した。その翌日に別の親戚が110番して事件が発覚し、千葉県警館山署に殺人容疑で逮捕された。