匿名さん
女性のADHDが増えている、男性と異なる気づかれにくい特徴とは
注意欠如・多動症(ADHD)と診断される成人女性が増えている。背景には「男の子の障害」とされてきた事情や性別への先入観がありそうだ。
「本当はぼろぼろなのに、それを人に知られるわけにはいかないんです」と話すのは、エール大学感染・免疫センターの博士研究員で神経科学の博士号を持つジャナ・モエン氏(31歳)だ。
モエン氏自身、20代後半でADHDと診断されたが、治療を受けていない多くの女の子と同様に、学校ではトップの成績で、その後仕事でも成功した。しかし長年自分の症状を隠し続けたことで、精神面や自尊心の問題を抱え、プライベートな人間関係に悩んでいた。
モエン氏のように子どもの頃から症状を示していても、女の子や女性のADHDは感情や学習面の問題として片付けられがちで、医師への相談を勧められることはあまりない。性に対する先入観も影響しているかもしれない。
2004年と2010年に発表された研究では、教師にADHDの子どもたちに関する記述を見せたところ、子どもの名前および男女を示す言葉を女子から男子に変えると、治療や特別な支援を受けるよう勧める傾向があるという結果が出た。
つまり、女の子のADHDは見過ごされ、治療されないまま大人になってしまいがちということだ。米ジョンズ・ホプキンス大学医学部の助教でメリーランド成人注意欠陥障害センター長を務めるデビッド・グッドマン氏が指摘するように、子どもの場合、ADHDを持つ男の子と女の子の比率は約3対1であるのに対し、成人になるとそれが約1対1になるという。2017年に学術誌「SAGE journals」に発表されたこれらの数字は、ADHDに男女の差はなく、女性の方が診断が遅いだけという状況を示している。