匿名さん
京都こそ真の都との自負から新幹線や在来線の東京行きを「上り」ではなく「下り」と呼ぶ、とか。関東から京都に出かけることを「上洛する」とあえて表現する、とか。「京都に三代住まないと、京都人とは認められない」なんてルールも聞く。「京都、こわくない?」長年暮らしたNYから縁もゆかりもない京都に移住した理由(仁平 綾)
ニューヨークで9年暮らしコロナ禍を経て、縁もゆかりもない京都に移住した、エッセイストとして活躍する仁平綾さん。「京都、こわくない?」と友人知人から何度も聞かれたという仁平さんが思う”ほんとうの京都”とは。ニューヨークから日本へ一時帰国するたび足を運んでいたお気に入りの場所、京都は住んでみてどう変わったのかをエッセイに綴った一冊『京都はこわくない』(大和書房)の「はじめに」から抜粋してお伝えします。
でも、真偽のほどをまわりの京都人に聞いてみると、
「そんなこと言う人、いまはおらへん」
「せいぜい一世代上の人たちぐらいまでちゃう?」
との答え。どうやら過ぎ去った昔の話のようである。
じゃあほんとのところはどうなの? 京都暮らしは、こわいことだらけなの?
もしもそう聞かれたら、私の答えは「ぜーんぜん、こわくないよ」である。生粋の京都人も、よそからの移住者も、みなさんいたって親切。いけずなんてないし(私が気づいてないだけかもしれないけど……)、嫌な思いをした覚えもない。