匿名さん
さらに、働き方改革の目玉ともいうべき施策が、同一労働同一賃金の導入である。終身雇用と年功序列を前提とした従前の雇用制度の下では、正規従業員と非正規従業員が同一労働であることはあり得なかった。非正規労働者が管理職に就くことはなかったし、非正規社員と正規社員との間には、賃金に関しても労働条件に関しても明確に線引きがなされていた。それに対して、働き方改革が目指すジョブ型雇用制度の下では、契約で定める職務によって賃金が決定され、同じ職務で賃金が違うことはあり得ない。要するに、同一労働同一賃金を強調する働き方改革が目指すところは、日本的経営の人事システムとは対極に位置するものであるといえるのである。国民の過半数が「生活が苦しい」…窮状打破のため、日本政府が改めようとしている「企業と勤労者の関係」【経営学者が解説】 | ゴールドオンライン
年功序列から成果主義へ、終身雇用から長期雇用へ。景気後退期の長期化とそれに伴う日本企業の失速によって、日本企業の人事制度は少なからず形を変えてきました。そうした制度改革の集大成として示されたものが、2018年の「働き方改革」です。経営学者・岩﨑尚人氏は、働き方改革について「新しいタイプの『日本的経営』を提起しようとする試みとも理解することもできる」と言います。岩﨑氏の著書『日本企業は老いたのか』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
是非は兎に角、私企業の経営制度に対して国が重い腰を上げて手を加えようとしたことには意味がある。ただし、現在政府が目指している「経営者と従業員の関係」は、互いに自由で、自立的、そして契約に基づく関係であるという点で、この改革が目指しているのは極めてドライな社会であるという点については、今後、議論が必要となるかもしれない。