匿名さん
少子化の話題でよく出てくる合計特殊出生率という数字ですが、あれは計算分母に未婚女性を含むものであり、未婚率が高まれば自動的に減ります。逆にいえば、結婚した女性が産む子どもの数は、1980年代と比較しても変わりません。「低年収の若者」無視した少子化対策が意味ない訳
最近、「若者が子どもをほしがっていない」という民間会社の調査結果が話題となりました。しかし、これだけで、昨今の少子化は「若者の子ども離れ」などと若者の価値観のせいとするのは短絡的です。そもそも、2021…
要するに、出生率が減っているのは、婚姻数の減少でほぼ説明がつくものであり、少子化対策を論じるのであれば、子育て支援云々以前にまず若者の婚姻環境はどうなのかを見つめる必要があります。そして、若者の婚姻減の原因を突き詰めていけば、必ず若者の経済環境、つまり「お金の問題」に行きつきます。もちろん婚姻減はお金の問題だけではないですが、「お金の問題」が近年大きな影響を及ぼしています。
全体の世帯数は、婚姻減と出生減で大きく減少しているわけですが、それでも年収750万円以上の世帯では、減っているどころかむしろ増えています。もっとも増加数が大きいのは1000万~1250万円以上の世帯です。
減っているのは年収500万円以下の世帯で、2005年時点ではもっとも世帯数が多かった層です。もちろん、20代の収入が大きく増えたわけではありません。2005年と2023年を比較しても、若者の所得はたいしてあがってはいません。むしろ、高年収層の婚姻は減ってはおらず、かつて日本の婚姻数を支えていた中間層の若者が結婚や出産ができなくなっていることを示唆します。
特に、そのインフレが激しいのが東京23区であり、2022年就業構造基本調査から6年以内に出産をした世帯だけを抽出すると、その世帯年収中央値は1000万円を超えます。東京23区で子どもを産む半分以上が1000万円以上の世帯ということです。
「貧乏子沢山」という時代はもはや昔話であり、今では「金がなければ結婚もできなければ、子どもも持てない」時代へと変容しているのです。