匿名さん
「前提として、日本の無痛分娩の多くは関東を中心とした都心部(東京や横浜)で実施されています。愛知県での無痛分娩も、名古屋市を中心とした尾張地区がほとんどで、三河地区での実施はかなり限定されています」(名古屋バースクリニック・柵木千尋医師)「陣痛に耐えるのは当然」「甘え」の声も…出産の選択肢“無痛分娩” 5年で倍増もまだ全体の1割
出産の際、麻酔を使って痛みを和らげる「無痛分娩」。選ぶ女性は増えている一方、割合としては全分娩数の約12%と主流ではありません。一体なぜなのでしょうか。
地方では、無痛分娩のニーズが都市部ほど高くない傾向にあり、限られた分娩施設において積極的に取り入れようとする動きは、まだそれほど多くないようです。
また、無痛分娩のためには、追加で10万円程度かかります。
現在、出産は健康保険の適用外のため、代わりに出産育児一時金として原則50万円が給付されます。しかし、通常の出産費用が約50万円のため、無痛分娩を選ぶと、超えた分は自費で払う必要があります。
厚労省によりますと、全国の出産費用はこの10年で平均約6万5000円増加。去年、出産育児一時金が増額されたものの、無痛分娩の約10万円はほぼ自費で払わなくてはならないという状況です。
「日本には『お腹を痛めて産むべき』『自分たちも苦しんで母親になれたのだから陣痛に耐えるのは妊婦として当然、それをしないのは甘えだ』などの言葉があり、通過儀礼的な思想、自然回帰の思想や文化が存在します。無痛分娩を選択するかどうかは妊婦一人ひとりの価値観によるので、そもそも善悪や優劣などの尺度で捉えるものでないです。しかし、妊婦の家族や友人などの周囲が無痛分娩に否定的な意見を述べることで、妊婦の決断を躊躇させているケースも少なくはないです」(名古屋バースクリニック・柵木千尋医師)
無痛分娩とは、陣痛を緩和しようとするプロセスを表す医学的用語であり、痛みがなくなるという結果を表しているわけではないそうです。全く痛くないということではなく、お産が完全にラクになるわけでもありません。
「無痛分娩に対して『ラクして産む』という偏見を払拭していくのも必要ですし、医療者側も無痛分娩の技術を高め、少なくとも無痛分娩を希望する妊婦全員が安心して医療を受けられるという環境を作り上げる努力が必要になります」(名古屋バースクリニック・柵木善旭院長)