匿名さん
不当に高額な料金を請求する飲食店を取り締まる大阪府の「ぼったくり防止条例」をめぐり、不当な料金を請求したとして罰則が適用された事例がないことが12日、分かった。「ぼったくりバー」が社会問題化したのを受けて平成13年6月に条例が施行されて以降、起訴に至ったケースはゼロ。摘発を警戒した店側が手口を巧妙化したことなどが背景にあるという。
大阪・ミナミの繁華街。20代の男性が26年4月、出会い系サイトで出会った10代後半の少女に連れられ、バーに足を踏み入れた。実はこの少女、自然な出会いを装ったバーの従業員。少女との会話を楽しみながらテキーラなどを痛飲した。2時間足らずで帰宅しようとしたが、店員がおもむろに差し出した高額請求書に男性は思わず声を上げた。10万2千円-。
とても払える額ではなく、それほど飲んだ記憶もなかったが、少女の姿は消えていた。男性は酔いが回りながらも抵抗すると、店長から「遊んだら支払わんかい。どうにかせんかい、帰らせへんぞ!」とすごまれたという。
男性は店のトイレに駆け込み、110番。大阪府警は26年7月、同条例6条に規定する「不当な取り立て」を施行以来初めて適用し、店長を逮捕。少女に話し相手をさせるなどの接待行為をさせていたことが「風俗営業」にあたるとして、風営法違反(無許可営業)容疑も適用した。
だが、検察側は店長を同法違反罪のみで略式起訴し、同条例違反については不起訴とした。店長が「乱暴な口調で接したことはない」などと否認したことに加え、男性の記憶があいまいだったため、立件が難しいと判断したとみられる。
府警によると、同条例に違反すると営業停止や懲役、罰金などが科せられることから、施行4カ月でミナミやキタの大阪市内で、ぼったくり店は9割近く減少した。
ただ、15年施行の改正府迷惑防止条例や26年施行の大阪市客引き行為適正化条例など、客引き行為自体を取り締まり対象とする法令が整備され、ぼったくり防止条例の“出番”は徐々に減少した。
また、店側も「人を威迫する」ような条例に抵触する不当な取り立て行為を避けるなど、手口を巧妙化させてきた。捜査関係者によると、店側は高額料金を請求する際、口調を含め極めて丁重な態度を保ち、請求書も高額ではあるが明確に示す。
また、一部のガールズバーなどでは、店側の女性の飲食代が高額に設定されているケースもあり、客が「ぼったくりや」と交番に駆け込んでも、警察官の目前で堂々と支払いを求めることもあるという。
条例に抵触するような激しい取り立てをした可能性があっても、被害者側が泥酔状態の場合は立件が難しく、記憶が鮮明であれば府警は強要や脅迫、逮捕監禁など、より罰則が重い法令を適用してきた。結局、不当な取り立てでの逮捕は26年の1件のみ。同条例の「不当な勧誘」では略式起訴に至ったケースはあったが、近年はないという。
新年会シーズンの真っ最中だが、府警幹部は「ぼったくり防止条例は、そもそも抑止効果を高めるためにできた。悪質な店は消えつつあるが、被害に遭わないためにも、店で飲酒する際には注意してほしい」と話している。
「ぼったくり条例」お役ご免? 施行15年、罰則適用ゼロ…悪質店減少・手口巧妙化 大阪(産経新聞) - Yahoo!ニュース
不当に高額な料金を請求する飲食店を取り締まる大阪府の「ぼったくり防止条例」をめぐ - Yahoo!ニュース(産経新聞)

