匿名さん
そして現代、田舎への移住ブームは新しい流れを引き起こし、『楢山節考』の世界を蘇らせた。なぜなら、老女だけの田舎暮らしが増加しているからだ。長野県の蓼科方面を中心に別荘物件や空き家の売買をする、ある不動産業者が言う。「おひとり様高齢者」の田舎暮らしが増加中 介護放棄の“姥捨山”という現実 | デイリー新潮
1983年に映画化され、カンヌ映画祭でパルム・ドールを受賞した深沢七郎の小説『楢山節考』(新潮文庫)の衝撃は、今でも色あせない。…
「安価だからか物件は次々に売れます。引っ越しとなると、都会に住む父親や息子さんが車でピストン輸送するケースが多い。問題は、その後です。住むのがお婆さんだけなんです。お爺さんだけというのは稀です。高齢女性が圧倒的に多い。そんなケースが増えています」
「東京や神奈川といった首都圏では、特養や老人ホームに入居することが難しい。そこで家族が『じゃあ、田舎暮らしをさせよう』と、地域の物件を購入しているようなんです」(同・不動産業者)
こうして別荘地購入のニーズは、一気に高まっているようなのだ。同時にトラブル――それも移住者自身に起因するもの――が急増中だ。
「車もないまま高齢者を置き去りにされると、買い出しができません。今は別荘地にも生協が配達に来ますから、仮に食べ物は大丈夫だとします。しかし、冬場は石油ヒーターが必要なので、ポリタンクに灯油を入れなければなりません。これも玄関までは地元の業者が来てくれます。しかし、20リットルもの灯油タンクを80代の女性がひとりで運ぶのは無理です。タンクを持った瞬間に転倒、骨折すれば、寝たきりになってしまいます。男手がないと不可能ですよ。田舎暮らしはだからこそ、自分よりも若い人との同居か、息子や娘が近くに住んでいなければ無理なんです。おひとり様には厳しいのが田舎暮らしです」(同・不動産業者)
■結局は孤独死?
別荘地なら管理事務所があるので安心、と考えるのも早計だ。お金さえ払えば大抵のことはやってくれる管理事務所であっても、生活の隅々まで面倒を看てくれる介護ヘルパーではない。そもそも、そういう技能を持った人間をスタンバイさせていることはまずない。
「部屋の中で転倒して助けを呼べなければ、どうしようもありません」(管理事務所の従業員)