匿名さん
兄と違って奨学金を借りたことに、この頃はまだ不満を感じていなかったという瞳さん。その背景にあったのは「下にまだ妹がいるし……」という気持ちだったが、大学1年の秋に驚きのニュースが飛び込んでくる。兄が、海外に留学するというのだ。しかも、実家暮らしである高校生の妹を使って探ってみれば、費用はすべて父親が出したという。「奨学金240万円」借りた女性が抱く父への葛藤 | 奨学金借りたら人生こうなった
「本当に、私の話なんかでいいんですか? 金額もほかの人と比べて多くないし、返済も普通にできていますけど……」取材場所である、渋谷ストリームに入るコーヒーチェーン店に現れた山岸瞳さん(31歳/仮名)は、…
「てっきり、お金がないと思って奨学金を借りたのに、兄にはポンと出してたんですよ。このときばかりは『なんでお兄ちゃんばっかり! やっぱり、長男がかわいいのか!』と、さすがにモヤりましたよね」
モヤモヤを抱えながらも、物わかりのいい2番目ゆえ、この時は気持ちを飲み込んだ瞳さん。その背後にあったのは「とはいえ、援助してくれるのは今のうちだけで、学生の間までだろう」という気持ちだったが、兄への支援は、自分で稼ぐようになった社会人になっても続いていくことになる。
「兄は昔から見えっ張りで、派手好きな性格。それゆえ、結婚式を誰もが知るような高級ホテルであげたんです。そして、その一部を父に出してもらって……。留学と結婚式を合わせて、どう少なく見積もっても、500~600万円は出してもらってるんですね」
国立大の瞳さんなら、授業料を払ったうえで、お釣りがくる金額である。
ちなみに兄はその後、わずか1年で離婚。また、留学でもそこまで英語力を伸ばせず、仕事では一切活かせていないのが現状だと言う。