匿名さん
「経済的な余裕がある者しか、子どもを作る資格がない」で思い起こすのが、E子さんの話だ。少し長くなるが以下に採録する。「いまの日本は、産めばなんとかなるとは思えない」Z世代が明かした本音（稲田 豊史）
2023年2月にBIGLOBEが発表した「子育てに関するZ世代の意識調査」によれば、「将来、子どもが欲しくない」と回答したZ世代（18〜25歳）は45.7％にも上るという。現役大学生21人に話を聞くと、少子化が叫ばれるなかでも、「子どもを作りたくない人に強要するな」という意見が目立った。全4回の最終回となる本記事では、そんな学生たちの本音を深掘りする。
「駅でベビーカーの子どもが大声で泣いちゃってたり、わがままを言われて明らかにイライラしてたりで、どのお母さんたちもすごく大変そう。私自身、子どもは結構好きなんですけど、それは他人の子だから。自分の子が四六時中一緒にいてこんな感じだったら、そりゃあイライラするよなあと思うと、私は嫌だなって」（E子さん／20歳・欲しくない）
彼女の乗換駅である渋谷駅でよく見かける光景も、E子さんに「欲しくない」と思わせる。
「京王井の頭線から東京メトロ銀座線への乗り換えが、ものすごく遠回りしない限り、階段を使うしかないんですよ。そこでお母さんが子どもを抱っこして、お父さんがベビーカーと荷物を抱えて、うんこらうんこらって階段を登ってる。こんな都会のど真ん中で、本当に辛そうで。そういうのを何度も何度も見てると、うわー……やだなあって」（E子さん・同）
E子さんは、「ベビーカーをうんこらしなくていいだけのお金があれば、子どもを作ってもいい」と言った。
「ベビーカーをうんこらする人を雇えばいいし、なんだったらどこに行くにも運転手つきの車で行けばいい。極端だと思われるかもしれませんが、私はそのレベルの収入がなければ子どもを産むなんて無責任だと思っています。ベビーカーうんこらじゃ、私は育てちゃいけない。お金持ちにならなきゃ、子どもは産みたくない」（E子さん・同）
お金持ちとは、どれくらいの収入を指すのか。
「月に手取りで200万円くらい」（E子さん・同）
これを聞いて「現実を知らない大学生だ」と笑い飛ばすのはたやすい。しかし大事なのはこの後のE子さんの言葉だ。手取り200万は世帯収入としてなのかと問うと、速攻で否定された。
「仮に離婚したとしても自分ひとりの収入で子どもを養えるくらいの財力がないと、子どもを作るなんて無責任という気がします。家計が世帯収入ギリギリで足りている、じゃ駄目なんですよ。安心できない。何があるかわからないですから」（E子さん・同）
E子さんは、社会が子育てをサポートすることなど何ひとつ期待していない。子どもを養い育てる際に頼れるのは、己の経済力のみ。そのハードボイルドとも言える価値観が、「こんな都会のど真ん中で、ベビーカーをうんこら運んでいる夫婦」の目撃によって醸成されたであろうことは、明白だ。